食用ガニの元祖は私です…ガザミ


毛ガニやタラバガニ、ズワイガニ冬の味覚の代表に蟹が挙げられますね。
カニ鍋でぎっちり詰まった身をすすり、カニ味噌の旨いところをつついて日本酒をクイッと…この行を書いただけでお腹の虫が轟くように鳴いています。
ちなみに私が好きな日本酒は会津の「会津中将」ですねぇ。
濃厚だけど重すぎない柑橘系の甘さのひやおろしなんて最高です。

さてさて、蟹といえば北海道が真っ先に思いつきますが、日本沿岸の広くに毛ガニやタラバ、ズワイに負けない美味しい蟹がいるのです。
その名はガザミ、「ワタリガニ」の名前を知っている方は多いと思います。
六角形の特徴ある平べったい甲羅は15センチを超す大型ガニです。
甲羅はオリーブがかった褐色で裏面は白色、甲羅の後方や鋏脚、脚は青みがかった色で水玉模様があります。
天敵のタコやサメ、エイから目を欺く保護色の役割があります。
また鋏脚の威力はとても強く、餌となる貝を叩き割ってしまうほどです。
海藻も食べますが、基本的には肉食性の指向が強く小魚やゴカイ、貝類など様々な小動物を捕食して生活しています。

ガザミの後ろ足はオール状になっており、自由に泳ぐことができます。
天敵に見つかりそうなときは素早く泳いで逃げることができます。
北海道から九州、台湾、中国、韓国にかけて分布しており、波が穏やかな内湾を好みます。
水深30メートルほどの砂泥底に生息し、普段は砂に潜って目だけ出して様子を伺っています。

春から夏にかけて産卵期を迎え、2回産卵活動を行います。
初夏に生まれた卵は「一番子」と呼ばれ、夏の間に急速に成長して秋には成体になり、生殖活動に参加します。
真夏に生まれた卵は「二番子」と呼ばれ、一番子より産卵数が少なくふ化後成長して成体になり、生殖活動に参加するのは翌年以降になります。

ふ化した個体は1か月ほどプランクトン状のゾエア幼生期という過程で、波間を漂いながら生活しますが、天敵の魚に非常に食べられやすく、生き残って成体に成長するのはごく僅かです。
数回の脱皮を経てメガロパ幼生期で稚ガニになり浅瀬で着底生活を始め、更に脱皮をしてようやく成体になるのです。
ガザミは古くから一般的な食用カニとして広く知られていました。
毛ガニやタラバ、ズワイが一躍有名になる1960年代まで、カニといえばガザミのことだったのです。

夏は脱皮をして味が落ちますが、秋以降は身が詰まり食べ頃です。
一番ポピュラーな食べ方は塩ゆでですが、蟹をそのまま熱に通すと鋏脚や脚が取れてしまいます。
そのため、一旦氷水で締めてから熱に通すといいですよ、
身は淡白な味わいですが、口の中に甘さが長く続きます。
オスの身は美味しさが強いですが、内子を持っているメスはとても珍重されます。
カニ味噌や卵巣など深い旨さと甘さが濃縮しており、非常にたまりません。

塩ゆで、蒸しガニ以外にみそ汁の具にすると濃厚ないい出汁が取れます。
和食以外にパスタの具材に使用したり、韓国料理のチゲやケジャンに抜群です。
大阪岸和田市で有名なだんじり祭りでは、ガザミを食べる習慣があります。

最近は国産のガザミが減少し、高い浜値で取引されています。
そのため、台湾や中国方面からの輸入が増えています。
10月現在、福井の小浜や宮城の女川では続々とガザミが水揚げされています。
ガザミの旬に食べてみたいですね。

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