夏が近づく5月の下旬、北海道のあちこちの海岸ではコンブの刈り取りが始まります。
透きとおった海底を覗いてみると、褐色のコンブがあちこちにゆらゆら揺れているのが見えるのです。
漁師さんたちは長い柄のついた鎌を使ってコンブをブチブチと根元から切り取って、器用に船へ運んでゆきます。
日本の年間コンブ生産量は約12万トン、生産量に占める養殖量の割合は約35%、天然物のうち北海道産は90%以上が北海道産です。
コンブは親潮が流れる冷たい海に育つ海藻なので、日本で獲れるコンブのほとんどが北海道産というのは納得です。
日本産は北海道以外に青森、秋田、岩手など東北地方で産地が幾つかあります。
そして、コンブは種類が多い海藻のひとつで、日本周辺の海では18種ほど存在します。
そのうち主に食用で使われているものはマコンブ、リシリコンブ、ホソメコンブ、ナガコンブ、ガゴメコンブ、ミツイシコンブ、オニコンブ、ガッカラコンブ、ネコアシコンブの9種類です。
お店で見かけるコンブは料理用のものとダシ用のものがありますが、これは原料のコンブが違うためなのです。
料理用としては函館付近で獲れるマコンブは甘味が強くまろやかな味わいで最上品とされ、料亭や割烹で好んで使われていますが、大阪ではこのマコンブの味が特に好まれています。
またダシ用としてはリシリコンブ、ナガコンブ、ミツイシコンブが使われています。
利尻島で獲れるリシリコンブは濃厚な味が取れ、そして料理素材の味を変えないので懐石料理や京料理では欠かせない存在で千枚漬けや湯豆腐などに使われています。
料亭などでは上質なダシを取るために一年以上寝かした「ひねもの」が好まれています。
干しコンブは、刈り取ったコンブを海岸の砂浜に一枚づつ拡げて乾かし、時折丁寧に伸ばして形を整え、夜はむしろを掛けて露が掛からないようにします。
そして十分に乾いたところで、一晩中夜露に当てて少々湿らせて柔らかくします。
市場に流通するときは、黒々とつやがある美しいコンブになっています。
トロロコンブはコンブを酢漬けにして糸状に削り取ったものですが、黒トロロはコンブの外側の黒い部分を使ったもので、シロ昆布はコンブの芯近くの白い部分を削ったものです。
画像出典元:https://blogs.yahoo.co.jp/yashs_palm_island/17607894.html