ウナギあれこれ その6

さて複数話に渡り綴ってきたシラスウナギの“密輸問題”ですが、それが横行している理由について見てゆかなければならないですね。

前々回にて、2007年に台湾が「資源保護を理由」にしてシラスウナギの輸出を規制する法律が制定されたため、これまで需要が高かった台湾からのシラスウナギが日本に入ってこなくなり、法律の抜け穴を狙って香港へ密輸して日本へ”正規輸入”という状態が続いていることをお話しました。
つまりこの法律制定前の2007年まで日本と台湾では普通にシラスウナギの輸出入をしており、両国間のシラスウナギ取引は違法ではありませんでした。
台湾で早い時期に漁獲されるシラスウナギが日本へ輸出され、日本で遅い時期に漁獲されたシラスウナギは台湾へと輸出という相互補完の関係が取れていました。

2007年10月に台湾がシラスウナギの輸出を制限してから、香港経由したシラスウナギ密輸が続いていますが、台湾のシラスウナギの輸出制限理由について、オフィシャルでは資源保護のためと説明しています。
しかしこの規制の背景を知る人は、それが本当の理由とは思わない筈です。
実は、台湾より先にシラスウナギの輸出規制を始めたのは日本だったのです。
台湾の法制定よりも数カ月早い2007年5月、日本国内からシラスウナギを海外輸出することの制限を定めました。

正確には、この規制以前より日本のシラスウナギ輸出の制限は存在しています。
台湾はこのシラスウナギ制限撤廃を陳情していましたが、日本は改めて輸出を制限したこと実情のようです。
台湾は日本がシラスウナギ輸出制限を決めた半年後に海外向けシラスウナギの輸出を制限しましたが、この制限は日本の報復措置とした意味合いが強いものです。

輸出制限がシラスウナギの資源保護に結びついていれば、この規制は意味があることでしょうが、この輸出制限によって日本国内のウナギ消費量が削減されているとは考えられません。
むしろ一定の需要があるウナギの輸出制限は、養鰻業者はシラスウナギ仕入れのため多額の資金を投入必要に迫られました。
密輸は様々なリスクを伴うため(密輸という脱法行為そのものが許されないものですが)、ウナギの値段は適法に流通しているときよりも遥かに高額なものとなっています。
現実として資源保護や養鰻業による地域経済活性化に結びつかない、この日台間の輸出制限は果たして意味があるものなのか。

そしてこの規制により、結果として密輸という違法行為が生じています。
違法な流通は適切なデータ管理を困難にさせて、更には資源管理にも悪影響が及びます。
シラスウナギの価格高騰も招いてしまい、ウナギ業界はもとより、消費者に於いても大きな影響が生じます。
適切ではない規制は、社会に大きな損失が生じることがあるのです。

画像出典元:https://blogs.yahoo.co.jp/star7hs/17789148.html

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