小型無人機「ドローン」が有名になったのは3年ほど前、米国・アマゾン社が商品配達に活用する方針を打ち出したときでしょうか。
その表明を受けてDHLやEMS、FEDEXなど世界的規模の運送業者は、輸送の効率化や省力化を目指してドローン活用の検討を始めました。
ただし、人口密集地の飛行をするときの安全性、積載重量などを巡り、完全実用化にはまだ時間が掛かっています。
ともあれ、この数年でドローンの社会的実用性は注目されており、配送業以外に測量、セキュリティや大型工場施設の監視など本格的運用に向けた試験が行われています。
そして漁業でもドローンの導入が進んでいます。
ドローンが年々高性能化されており、養殖場での病害監視や魚群探査の運用をしています。
これまで人間が行っていた危険作業そのものをドローンに代替しつつあります。
2017年、東京のソフトウエア開発会社「オプティム」はドローンを活用して、病害で苦労している有明海での養殖ノリ生育管理の実証実験を開始しました。
有明海では、海水の温度上昇で引き起こす水カビのひとつの“赤腐れ病”の被害が年々深刻化しています。
オプティム社は、ドローンで養殖場を空から撮影した映像を人工知能(AI)で解析することで、赤腐れ病発生を早期に発見して対処に繋げたいとしています。
さらに将来的にはドローンを定期的に飛行させて、養殖している海苔の色を分析し、生産者や漁協に異常の有無を知らせることを全て自動で行いたいとしています。
また有明海以外でもドローンが活用されつつあります。
川や湖の漁協が加盟する全国内水面漁業協同組合連合会(東京)にて今年より、アユやウナギなど淡水魚を食い荒らす害鳥の川鵜(カワウ)対策のため、全国の約20県漁連にドローンを配備しました。
そしてオーストラリアでは、マグロ釣りにドローンを活用しているのです。
極太の釣り糸と餌を取り付けたドローンを海上に飛ばし、飛行しているドローンから送られている映像データを確認しながらマグロの群れを探し、マグロの群れを見つけるとピンポイントで釣り糸と餌を投下します。
するとマグロはいとも簡単にドローンが投下した餌に喰いつきました。
釣り糸は浜辺で待機している釣り竿と繋がっており、ヒットした瞬間に全力で釣り糸を巻き上げます。
ドローンと釣り上げる人の連携によりこれまで経験で探していたマグロの群れを効率よく見つけることができ、漁獲量の増加が見込まれるとしています。