カツオと日本人


1月25日、千葉県勝浦市の勝浦漁港に今年最初のカツオ一本釣り船が入港しました。
一番船になったのは三重県志摩市の甚一丸(118トン)で、小笠原南方周辺で7トンのカツオを釣り上げました。
競りは大きいもので1,100円、小さいもので660円の値が付き、去年より上回っています。
落札されたカツオは築地市場や大型スーパーなどに出荷されました。

カツオは日本人に於いて古くから関わりがあり、縁起がある魚という位置づけがあります。
古墳時代の大和朝廷ではカツオの干物を献上することを課していました。
身が堅い魚のため「堅魚」と呼ばれており、鰹の字もその由来です。

カツオを加工した鰹節は神社や神棚に供える神饌の一つです。
神社の神殿の屋根の「鰹木」とは鰹節に似ていることが名前の由来です。
戦国時代には戦に勝つという縁起から鰹節を「勝男武士」と当て字され、武士たちの間で流行っていました。
織田信長は海より遠く離れた清洲城や岐阜城の家臣たちに、生のカツオを振る舞ったそうです。

江戸時代は、江戸の町民の間で5月の初ガツオを食すことがとても「粋」であり、縁起のいい春の初物とされていました。
「目に青葉 山時鳥 初鰹」という山口素堂の句は非常に有名ですね。
加熱した5月の初鰹の人気でかなりの高値が付いたと言われます。
歌舞伎俳優の中村歌右衛門が初鰹を3両(現在の通貨で約45万円)で1本購入したのです。

カツオは、春は黒潮の流れに沿って北上し、秋は南下する季節的回遊魚です。
ヒゲクジラとジンベイザメに群がる習性があり、天敵のカジキから身を守るとされていますが、その反面カツオが集めたイワシをクジラが食べるため、共生関係とされています。
この初ガツオとは、黒潮と親潮が交りあう三陸周辺の餌場に向かうため、太平洋を北上するカツオです。
脂身よりも赤身が多く、さっぱりとした爽やかな旨みにほのかな酸味が楽しめます。
炙りにしてタタキにするととても美味しくいただけますね。

一方、秋以降に美味しいカツオは「戻りガツオ」と呼ばれ、夏に三陸沖で沢山餌を食べて身にたっぷり栄養を付けたカツオが暖かい海域に戻るため太平洋を南下します。
特に腹の脂はマグロのトロと負けない乗り具合です。
濃厚でこってりとした深い味わいなので、そのまま刺身にして食べると非常に美味しいですね。
カツオの身には美味しさ以外に栄養価の不飽和脂肪酸(EPAとDHA)が豊富です。
カロリーも低く、ヘルシーな魚なのです。

画像出典元:http://tabicchi.exblog.jp/9037354

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