ウマズラハギは刺身がおいしいですね。ウマズラハギの身は白身で淡白で上品なうまさがあります。薄造りにするとフグよりオイシイ刺し身になります。
河豚は肝を食べると死んでしまいますが、ウマズラハギの肝は濃厚で大変旨い。河豚に比べると値段は格段に安い。
そして一年を通してウマズラハギは漁獲でき、刺身を食べるなら5~6月が食べごろで、肝を食べるなら11~3月ごろが食べごろです。真夏の産卵時期を除けば美味しく食べられます。
この様に年中美味しく食べられるウマズラハギの、濃厚な旨味の肝を養殖によってより大きな肝にしようという研究所があります。
広島県立総合技術研究所水産海洋技術センター(呉市)が2010年に研究を開始しました。
ウマヅラハギは春には大量に定置網で漁獲でき、その肝のうまさには定評があり、肝を大きくできたら高く販売できるのではないかという考えで研究がスタートしたのです。
養殖には漁師の網にかかった天然のウマヅラハギを利用し、養殖するのですが、警戒心が強いウマヅラハギにえさを与えることは大変だったようです。
口の小さなウマズラハギは少しずつしか餌を食べません。魚の好む香りを見つけ餌に配合して多くの餌を食べさせることに成功したのです。
まさにフォアグラづくりと一緒の方法ですね。肝の重さは一般的に体重の5~15%とばらつきがありますが、養殖によって安定して肝の大きさを体重の10%を超えるように飼育研究したのです。
体重200g以上の大きさで、肝の重さが体重の10%を超すものを「フォアグラハギ」として販売することにしました。県は14年に商標登録しています。
フォアグラハギは一般のスーパーには流通しないようです。魚の直売所やイベントで販売するほか、殆どが市場を通じて県内の飲食店に卸されています。
したがって一般家庭ではフォアグラハギが食卓に上ることはまだありません。又値段も天然物より高いため、スーパーでの販売には向いていないのではないでしょうか。
呉市の広漁協では本格的にウマズラハギの養殖に乗り出し、15年には漁業権を得て市場に出荷し、16年度には昨年の3倍の生産を目指すと話しています。
海のフォアグラといえば「アンコウの肝」もこのように呼ばれますね。ウマズラハギの肝は寒くなると肝が膨らんで美味しくなるため海のフォアグラと呼ばれるようです。
カワハギはほかの魚に比べると運動量が少ないため、脂を身にため込む必要がなく、その分栄養を脂肪に変えて肝臓に蓄えているのです。
養殖技術は発達すると消費者にとってうれしいことが多くなりますね。天然の魚介は天候や季節によって漁獲量がばらつきますが、養殖魚は安定した供給ができるため、食べたいときに口に入るというのが最もありがたいことだと思います。