魚にもワクチンを


嬉しくない風物詩として1月を過ぎると、インフルエンザが全国的規模で流行りますね。
関節が突然痛みだして高熱に数日間うなされる、あの苦しみは思い出すだけでも辛いものです。
以前勤めていた会社では一人がインフルエンザに罹患して、あれよあれよと数日の間に会社の半分近くの従業員に移ってゆく様はとても恐ろしいものでした。
勿論、私も倒れてしまったうちの一人でしたよ。
病院でインフルエンザ陽性の判定が出てタミフルを処方してもらった帰り道、意識混濁の頭の中で「荒城の月」を唄っていたのを覚えています。
もっとも、私の妻の様に一度もインフルエンザに罹ったことがないという奇特な人(!?)もいますけど…。羨ましいかぎりです。

インフルエンザの対策で、病気が流行する1~2カ月前に予防接種を受ける方もかなりいらっしゃいますね。
予防接種とはワクチン、つまり生物が本来持っている病原体に対する免疫力(抗原抗体反応)を活かして、様々な病気に対する免疫をあらかじめ用意する製剤です。
実際に病原体が侵入してきたときに、体の免疫防衛システムが素早く働くので病気に罹らずに済むのです。

このワクチン、ヒトのインフルエンザ免疫に限らず様々な生物に対して利用されています。
魚もその例外ではなく、水産用ワクチンが開発されています。
鹿児島県では平成9年より海面養殖魚に対するワクチン接種を行っています。
本県はブリとカンパチの養殖が盛んですが、三大疾病と呼ばれるイリドウイルス、レンサ球菌症、ビブリオ病が存在しており、致死率が非常に高いのです。
伝染力が強いために、生け簀飼育など飼育密度が濃い環境では、たちまち他の健全な個体に病原体がうつり罹患してしまいます。
そして何よりも養殖魚の大量斃死により最悪全滅ということもあり得るので、魚病の疾病は養殖運営の経営に大打撃を与えてしまいます。

これらの病原体に対するウイルスを魚に接種した結果、大幅に三大疾病の発症が減少がみられました。
養殖現場では疾病という大きな脅威を減らすことができました。
そしてワクチン接種を導入以前は、魚の疾病発生時に対処療法的に行なわれていた薬剤の投与量が1/4~1/3に抑えることができたのです。
疾病のリスクと薬剤の使用量が減ったことより、安心で食の安全が確保された健全な魚を生産することと、薬剤の使用量が大幅に減り養殖経営の安定に繋がることができたのです。

 

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