高級魚になったり大衆魚になったりとワタシは忙しい・マイワシ物語


ワタクシはイワシの梅肉揚げが大変好物です。
イワシ料理は煮ても、焼いても様々なバリエーションが楽しめます。

さて、日本の大衆魚でお馴染みだったマイワシは、この二十年以上にわたって獲れないと報じられています。
漁獲量で見ると1988年(昭和60年)の448万トンをピークに減少の一途を辿っています。
2001年には年の水揚げ量が10万トンを割り、2005年には遂に2.8万トンとなり、1985年の0.6%しか水揚げされませんでした。
魚価もピーク時は30~50円/kgだったのが、2003年には1,000円/kgを超えていました。
2008年以降再びマイワシの漁獲量が微増しているデータがありますが、2011年は3万トンと、まだまだ資源回復しているとは言い難い状況です。

マイワシは、1988年の漁獲ピーク時と2000年代の不漁期を見ると、乱獲による減少と考えたくなりますが、実は1965年(昭和40年)に0.9万トンしか漁獲されなかったのです。
漁獲量推移を見てみると、数十年周期で不漁期と好漁期がはっきり分かれていることがわかります。これを資源変動といいます。※1

豊漁だった1988年の翌年以降、1歳魚の存在が極端に少なくなりました。
マイワシ稚魚は黒潮続流域(房総半島沖から日付変更線付近)で成長します。
この海域は海流によって作り出された動物性プランクトンの量が豊富であり、マイワシの餌が潤沢であるのです。
プランクトンの量は水温と日照に関係します。
そして、この1988年の夏は8月初旬になるまで梅雨が続き、気温および水温が下がっていました。
黒潮続海域の水温(特に冬場)が下がり、数年間連続して稚魚や1歳魚の生存率が下がったと推定されています。
そのため、豊漁だった1988年以降から極端にマイワシの水揚げ量が減ったのでした。
それ以外に、カツオなどマイワシの捕食者が増えたことが観察されています。
また、面白いことに日本以外にアメリカ、ペルー沖合のマイワシも同じ資源変動の推移を辿っているのでした。
海洋環境の変化がマイワシの生息に影響があるのでしょうか。

そして、東京大学海洋研究所松田博士により、マイワシが減るとカタクチイワシが増え、カタクチイワシが減るとマサバが増え、マサバが減るとマイワシが増える、三者の相関現象を研究しています。
毎年生まれる稚魚の量、成長過程の歩留まり、共食い、マサバがカタクチイワシを捕食する割合、マイワシとカタクチイワシの生存競合などを数式に置き換えて、将来の生息予測を立てています。
2014年のマサバの漁獲量は多く、北海道では記録的な水揚げ量があり加工場が追い付かないほどでした。
極端な例ですが、現状ではマサバが多く、マイワシが少ない魚種相関になっています。
もし、このまま魚種交代が進めば2035年以降にマイワシが増えると予測されています。

しかし、獲れるからと目いっぱいの操業をするのではなく、漁獲量の制限や1才魚未満の魚の捕獲制限など、管理する運用が水産資源の維持や回復につながるカギになりますね。

画像出典元:http://blogs.yahoo.co.jp/iwana39over/

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