見た目はごついけど、色っぽい名前を持っています。アイナメ


アイナメとはカサゴ目に分類される魚です。
塩分濃度が低い河口付近や岩礁に生息しており、南西諸島や一部太平洋を除く日本各地で漁獲されています。

魚体は赤褐色、紫褐色の色合いですが、繁殖期のオスには婚姻色があり黄色になります。
日本列島沿岸に生息するアイナメは晩秋から冬が産卵期で、オスは縄張りの岩礁にメスを誘い込み産卵させます。
北海道産のアイナメは本州より早く9月から11月が産卵期になります。
オスは次々にメスを呼び込み産卵をさせるので、大きな卵塊ができあがります。
産卵が終った後もオスは卵のそばに残り、外敵を追い払って守りますが、その一方でオスは卵を好んで食べる習性があります。
ふ化後、稚魚は岩礁周辺で泳ぎながら生活しますが、体長が5cmを超えるころには成魚と同じ底生生活を始めます。

アイナメは底引き漁、刺し網で漁獲されます。
釣りの魚として太公望からの人気があり、テトラポットや防波堤から投げ釣りでアイナメを釣り上げたことがある人は多いのではないでしょうか。

身は脂がよく乗っており、北海道では「アブラコ」、「アブラっこ」、関西地方では「アブラメ」と呼ばれています。
ちなみに広島では「モミダネウシナイ(籾種失)」と呼ばれますが、この由来はどこからきたのでしょうね。
鮮度が落ちるのが早いですが、活〆にしたアイナメの刺身は脂の旨みが格別です。
しかし、季節によっては寄生虫が付いていることがありますので、生食は気を付けてくださいね。

暗褐色で口が大きく、とてもごつい魚体ですが、鮎の様に滑らかな味わいが楽しめることより「鮎魚女」という美しい呼び名があります。
更に「愛魚女」と書いてアイナメと呼び、歌舞伎の演目の様に艶な呼び名があるのです。
この「愛」とは愛でること、賞味することを意味します。
つまり、「賞味をするべき美味しい魚」ということを「愛魚女」という言葉で表しているのです。

余談ですが、アイナメの学名は「Hexagrammos otakii Jordan and Starks」といいます。
この学名の中の「otakii」は生物学者シーボルトが愛した日本女性の「お滝さん」を想って献名したとのことです。
何ともロマンがある話ですね。

アイナメの旬は2つあり、初夏と晩秋です。
初夏の魚は活けものを薄切りにして食すと最高です。
美しい白身を椀物につかうと、さらりと脂が浮き繊細で上品な味わいになります。
また晩秋は産卵期のため、身が柔らかいのが特徴です。
醤油と相性がいいため、醤油を塗りながら焼くと香ばしさが楽しめます。

今日は美しくロマンがある魚のお話でした。

画像出典元:http://blog.livedoor.jp/uessai/

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