市場で値が付かない魚を有効活用して地元産業を元気に・小田原


神奈川県西部の小田原市。
近くには急峻な箱根山や湯本の温泉街、市内には足柄平野を流れている酒匂川、そして目の前に広がる相模湾と風光明媚な街です。

小田原市の沿岸海域は急深な地形で、この地形を活かして定置網漁が盛んです。
アジ、サバ、イワシなど定番の魚から、ソウダガツオ、アカカマス、イシダイ、クロダイ、イナダ、メジマグロ…様々な魚が漁獲されます。
水揚げされた魚の殆どが小田原市漁協にて競り落とされて県内一円に流通され、干物など加工品は築地に流通されます。

約20年前より伊豆沖群発地震による影響のため、小さなイサキが大量に定置網に掛かる様になりました。
体長10センチ程度の小さなイサキは鮮魚流通に向かず、肥料の原料として非常に安値で販売されていましたが、小田原市漁協ではこの大量に水揚げされる小さなイサキの対処に頭を抱えていました。
この肥料として売られてゆく小さなイサキに目をつけたのは、小田原市で140年以上に渡り蒲鉾、練り物製造販売を行っている老舗「株式会社 丸う田代」でした。
同社の高品質で深い旨みの蒲鉾はとても人気がありますが、それまでは原材料が揚がって確保できたときのみ、蒲鉾の製造・販売をしていました。

結果として漁協は安値で取引されていた小さなイサキは、食品加工用として高く売れることができ、漁業者の収入向上に繋がりました。
蒲鉾の生産にあたり、小田原名産というブランドが古い昔からあるので上質な蒲鉾の製造ノウハウも十分にあります。
高品質やブランドの付加価値があることで、地元のみならず日本国内に蒲鉾の需要があるのです。
現在では小田原市内の本店をはじめ、全国の有名デパートや大手スーパーで販売されているほか、自社のホームページでも通信販売を行っています。
また丸う田代では蒲鉾のみならず、加工したイサキのすり身を給食材料としてはんぺんを製造して、神奈川県内の小中学校に地産地消の食事メニューを提供しています。
地元産業活発化に貢献したとして、丸う田代は平成22年に「地域社会との連携で築く元気な水産業」の内閣総理大臣賞を受賞しました。

現在も地元水産業、食品製造業に大きく貢献しており、さらに同社は小田原市役所や市内農水産食品製造生産会社、販売店、商工会議所と連携して、「小田原おでん会」を立ち上げました。
地元で生産されたおでんの具を通じて地産地消は勿論、インターネットをはじめ、雑誌、テレビなどのメディアを積極的に活用して県内外で小田原のおいしい海の幸、山の幸のPR活動を行っています。

画像出典元:http://moognyk.hateblo.jp/

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