カサゴの仲間で真っ赤な魚体が美しいキンキという魚がいます。
正式和名はキチジですが、一般的には「キンキ」という名前で広く流通されています。
日本では駿河湾以北に生息し、北海道から樺太にかけて好漁場となっています。
大陸棚斜面付近の水深150mから1,000m程度の海に生息している深海魚で、魚、イカ、エビ、カニ、ゴカイなどを捕食しています。
昔の北海道では南方系の鯛が採れなかったので、鯛の代わりに祝い事にはこのキンキがお膳に上がっていたといいます。
そして今でも、北海道では祝い事の膳にはキンキが上がっています。
また東北や北海道では手軽に手に入る大衆魚として古くから馴染みがある魚でした。
獲れすぎるので肥料の原料に供され、仙台では笹かまぼこの材料に使っていたほどです。
1970年代、年間水揚げ量が4,000トン以上もありましたが、最近は数百トンまで落ち込んでしまいました。
高級魚となったキンキの浜値はとても高価になり、現在ではキロ6,000円から10,000円台で取引されています。
大きい魚ほど高価な傾向があり、市場では魚の大きさによって「キンギョ」、「ジャミキン」、「ショウキン」と呼び名を変えて取引しています。
キンキの旬は秋から冬にかけてです。
深海で生活する魚なので、身にたっぷり栄養を付けているので身や皮に脂がよく乗っています。
繊維質の筋肉は身はなれが程よく、白身魚の中でも格段の脂の乗りを誇ります。
同じ白身魚で鯛の脂肪分が約6%、サワラが10%に対してキンキは20%もあるのです。
そして、脂が多いのにしつこくない滑らかな味わいが楽しめます。
キンキの鮮度の見分け方は、肌の色にあります。
獲れたての魚はあざやかな深紅の色をしていますが、時間が経つにつれてオレンジ色に変ってゆき、更に時間が経つと色が抜けて黄色になり白くなってしまいます。
また、触ってみて身が硬く、鰓が鮮やかな赤色のものが新鮮な魚です。
目の下、頭頂部、背びれに鋭い棘がありますので、自分で生のキンキを捌くときには十分注意してくださいね。
脂の旨みがあるので煮付け料理が絶品です。
そして、食べ終わって残ったアラや骨に熱湯をかけると骨湯という旨みがある出汁になり、一粒で二度美味しさが楽しめます。
鮮度がいい魚は湯引きにして刺身にすると、皮の下にゼラチン質が現れます。
ゼラチン質の食感と、肉の脂の旨みと甘さが贅沢な気分を演出させます。
その他、脂の多さを生かして一夜干しの網焼き、唐揚げなどが楽しめます。
北海道以外でも大型鮮魚店では扱っているところもありますので、この冬はキンキ料理を楽しみたいと思います。
書いているうちに非常にお腹が空いてしまいました(笑)