冷凍魚のおはなし その2

さて前回からの続き、魚の冷凍“急速冷凍法”についてお話ししましょう。
魚を凍らせる過程で身に氷の結晶ができますが、この氷の結晶が曲者で身の繊維組織が破壊されてしまいます。
破壊されてしまうと、魚を解凍したとき肉に含まれている“旨み”などが含まれた液、つまりドリップが流れ出してしまうため味わいが悪くなり、そして何よりも身がぐにゃりと柔らかくなってしまうので食感も悪いものになってしまいます。
また長期間冷凍庫に保管したときにありがちな、身に霜が付いて色味が悪くなる「焼け」が発生することもあります。
これは冷凍庫を開け閉めしたとき、暖かい外気に触れた肉が酸化され、そして水分が奪われてしまうのです。
そうなると、とてもパサパサな肉になってしまい、ちっとも美味しくありません。

急速冷凍法のメリットとは肉を短時間で急激に凍らすことが目的で、氷の結晶が出来る温度を急スピードで通過させることが出来るので、肉に付着する氷の結晶を小さく抑えることが出来るのです。
魚を凍らすときは急速冷凍法とともに、冷凍室の中の空気を撹拌してムラなく効率的に凍らせる“空気ブラスト法”という手法も取られています。
また古くからの知恵で、マイナス20℃位まで冷やした食塩水の中に魚を漬けて凍らせる方法というものもあります。

急速冷凍が終った魚をすばやく真水に漬けこんで氷の衣を被せますが、これを“グレース”といいます。
このグレースをすることによって、魚を貯蔵している間はずっと外気から遮断されるため魚の肉が乾くことが防げ、且つ空気中の酸素によって魚体に含まれている脂や色素の酸化を防ぐことができます。
また昭和時代以降、大量生産で手間を減らすために“防酸化剤”を魚の表面に塗って酸化防止の処理をしています。

しかし、それでも肉の酸化が防げるとは言い切れず、やっぱり鮮魚に比べれば味も食感も劣ってしまいます。
キンメダイやメヌケなどはアスタシンというカロチノイド系の色素が含まれているので、あんなに鮮やかな赤色をしていますが、冷凍したものは鮮魚よりも薄い色になってしまいます。
冷凍中、アスタシンは空気中の酸素に触れて酸化してしまうためです。
ちなみにサバなど所謂“青魚”にもこの現象は起こります。
画像出典元:https://we-love.shizuoka.jp/tourism/6077/

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冷凍魚のおはなし その1

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