魚のフェロモン その3

さて魚のフェロモンは性行動だけに関与している訳ではありません。
北米の淡水域に生息するブルヘッドナマズは集団で生活する個体と、単独で縄張りを張って生活する個体があります。
縄張りを持つ個体が見知らぬ個体を見つけたとき、激しい争いが始まり、ときに死ぬまで戦いを続けることがあります。
その一方で、数百尾単位で群れを成して生活しているものもあるのです。

ここで実験、単独で生活する個体を2尾、同じ水槽に入れます。
すると両者は水槽の両側に別れて自分の縄張りを作り、相手が自分の縄張りに近づいたときは争いが勃発します。
つぎに群れを成して生活している個体を複数尾同じ水槽に入れましたが、これらの魚は群れている状態で生活を続けるので互いに争いを始めることはありませんでした。
しかし、群れを成して生活する個体の鼻の組織を破壊したとき、たちまち見知らぬ者同士の様に振る舞い始めました。
単体で生活している個体ほど徹底した縄張りを作りはしないものの、お互い争いを続けているのです。
やがて鼻の組織が修復すると再び群れを成して、争うこともなくなりました。

また群れを成している個体群の中に嗅覚が失っている魚一尾を入れたとき、この魚は群れに溶け込むことができませんでした。
ブルヘッドナマズは群れを作って生活しているときは、お互いが“集合フェロモン”を分泌しており、これを嗅覚で感じ取って各個体が統率された集団行動を取るのです。

さて今度は集団で生活しているナマズの水槽と、縄張りを張って単独で生活しているナマズの水槽間にパイプで連結して、集団の水槽から単独の水槽へ水を流します。
流し始めたから一週間、何と縄張りを持っている2尾は争うことがなくなり仲良く振る舞っているのでした。
そして翌日、集団の水槽から注水を止めると再び縄張りを張って、近づくと争いが始まりましたが、またまた注水を開始すると争いは収まります。
単体で生活するナマズは、集合体で生活している水槽から流れてくる水に含まれている集合フェロモンによって単独活動が抑制されたことが判りました。

個人的に疑問なのは、もし注水する水を逆に流したらどうなっていたのでしょうか。
凄く気になります。
画像出典元:https://ameblo.jp/tamashii123/entry-11836666038.html

 

魚のフェロモン その2

魚のフェロモン その4

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