サバ小噺 その1

暑い夏が過ぎて朝晩に肌寒い風を感じる頃になりますと、魚屋には丸々と肥え太った秋サバが所狭しとぎっしり並んでいます。
煮たり、焼いたりした秋サバを口の中に入れたとき、トロリとした脂が口中いっぱいに広がって、クロマグロやヒラメなどの高級魚とはまた趣が違う旨さが楽しめます。

昔より「秋サバは嫁に食わすな」という言葉がありますが、秋サバの旨さを皮肉にも穿った言葉といえましょうが、実際の意味は言葉のイメージに先行した封建的なことではないのです。
まだ魚の長期保存の技術が全くなかった江戸時代、秋サバの旨さにとろけてしまいますが、とくにサバは鮮度の落ちが早くすぐに痛んでしまうため、子供をこれから生む嫁がそんなものを食べて体調を崩してしまうのはとんでもないという思いが込められていたのです。
ちなみに似た言葉で「秋茄子は嫁に食わすな」というものもありますが、これは秋茄子を食べ過ぎて体を冷やさないようにという意味合いがあるのです。

ところで普段“サバ”と一口で呼び慣わしていますが、日本で流通しているサバは「マサバ」と「ゴマサバ」の二種類が主流です。
これらのサバはとても似通った体の形をしていますが、よくよく見てみると素人でも区別がつく特徴があるのです。
ゴマサバはマサバよりも体が丸く、体の下部には黒い小さな斑点が無数に散らばっています。
体の斑点が胡麻を撒いたように見えるから“ゴマサバ”と名付けられたもので、また体が丸みを帯びているので“マルサバ”と呼ばれたりもします。
そしてマサバ、ゴマサバよりも平たい形をしていることが特徴で、これらの二種類は普段住んでいる場所にも違いがあり、マサバが沿岸近くに生息していることに対して、ゴマサバは沖合に生息していて沿岸にはあまり近づかないのです。

では秋になると全てのサバが美味しくなるかといえば実はそうでもありません。
“秋サバ”として喜ばれているものは主にマサバのことなのです。
マサバは4月、5月にかけて産卵期で、産卵が終わった梅雨の時期にはげっそり身が痩せてしまいます。
ですがマサバは非常に食いしん坊な魚で、産卵が終ってから猛烈に餌を食べ出すので秋になる頃には体にかなりの脂が付いてきます。
マサバの脂はなんと瞼にも蓄えられているので、この時期のマサバの眼は乳白色に濁っているのです。
そのため秋のマサバが一番旬の時期として美味しく頂けるのです。

画像出典元:https://www.fish-cooking.com/saba/saba-tatutaage.html

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サバ小噺 その2

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