
前回までは海外漁船がどれだけ日本のサンマ漁に影響があるのか、お話をしました。
今回は日本近海の海洋変化について見てゆきましょう。
さて、サンマが減った日本沿岸付近ではサンマの代わりにサバやイワシの水揚げ量が増えており、サンマ漁の漁師たちは棒受け網の中に入っているサンマ以外の魚種の魚の増加に頭を抱えています。
水産総合研究センターによると、2010年以前はサンマの生息に適した水温の海域が、釧路市を中心に道東を覆っていたので、ここでサンマ漁が行われていました。
しかし2011年以降になると道東沖ではほとんどサンマは漁獲されることがなくなり、サンマの漁場は北方四島東側、北海道沖から遥か離れた東付近、つまり北太平洋の公海へ移動してしまったのです。
考えられる原因は海水温の上昇です。
水温が冷たい親潮は千島列島沿いを南下し、道東沖へ流れますが、2011年以降は南方沖から北上してくる暖かい海水が北海道沖に流れこみ、結果として道東沖に暖かい海水が停滞して海水温が上昇したと見られています。
事実、この数年東北・北海道付近に例年より多く台風が幾つか接近、上陸していますが、台風がやって来るということは付近の海水温が高いためなのです。
2015年には根室沖のサケマス定置網に、この付近では生息されることがないクロマグロが掛かり大きな話題となりました。
サンマが好む12~18℃の水温帯の海域が東へ移ったために、釧路沖を含む道東周辺のサンマの不漁が続いていると推測されています。
しかしこの現象がこの数年で起きたことではなく、1980年代前半にも北海道付近の水温が上昇してサンマの漁獲量が減り漁場が沖合に移り、代わりにイワシやサバの水揚げ量が増えていることがあったのです。
サンマの水揚げを見ていると約20年周期で増減を繰り返しており、今がまさにその減少期に入ったと見られています。
エルニーニョ現象による水温上昇で海洋環境が変わったことや、サンマ稚魚が生息する暖かい黒潮の周辺海洋に何らかの影響があるという研究がなされていますが、まだ詳しいことまでは解明されていません。
かつて日本近海のサンマが減って排他的水域外の公海付近にサンマの回遊コースが移っても、公海付近で操業する外国船はほとんどありませんでしたが、最近の状況では公海には沢山の外国漁船がサンマ漁を続けており、しかも資源が減っているという認識が薄いのです。
そのため時間が経って再びサンマ資源量が増加に転じる時期が来たとき、今迄のようなサンマ資源が潤沢になるという保証はないのが現実です。