私が子供の頃父親に「干物の味が分かれば一歩大人になるんだ」と言われたものです。
確かに子供の頃の私の舌はマグロの刺身などわかり易い味を好み、干物など深い味わいの食べ物は苦手でした。
そして時は二十年以上経過して四十路の道を突き進む私の舌は、父親の言ったとおり「干物大好物!!」になったのでした。
ただし自分が立派な大人になったかどうかというと疑問が残りますが。
この原稿を書きながらポテチ徳用サイズをボリボリボリ…、チョコメロンパンをモサモサモサ…。
魚の生の味を楽しむ刺身と対極的なものが干物ではないでしょうか。
海沿いの街道を車で走らせていると、サバやキンメなどとても美味しそうな魚が干している光景が目に入ります。
するとワタシは近くのお土産屋さんで干物を山ほど買い込むのでして…。
干物の最大的な特徴、身に含まれている水分が少ないので堅い独特の食感と凝縮された深い旨味が楽しめます。
この旨みとは蛋白質が分解されることで生じるものです。
干物の歴史はとても古く、奈良時代まで遡ります。
正倉院文書のなかに干物についての記載があり、宮廷への献上品として貴重なものだったようです。
そして干物の種類は様々で、小魚など内臓ごと干した魚を“キタヒ”、内臓を除去して干した魚を“アヘツクリ”、身を細長く割いて干した魚を“スハヤリ”と呼ばれていたことが記載されています。
また海外でも干物との関わり合いが深く、欧州などカトリック社会では、断食日は肉食が禁じられていましたが魚の食事は許されていたため、一年のうち半分の間は魚の需要が非常にありました。
そのため、魚を手に入れて保存をすることが必要だったのです。
取り分け、タラの干物は保存性に優れており、保存状態が良ければ5年間は腐ることなく保つことが出来ました。
また大航海時代では暑い赤道を越えることができる、貴重な蛋白源であり長期間の航海で欠かすことのできない食物だったのです。
さて食材は微生物の作用によって腐敗が進行することはご存じですよね。
微生物も生き物ですので、水分、栄養、温度、pHなど適した条件が整うと、たちまち繁殖してしまいます。
そのため食材の腐敗を防ぐには水分を減らすと効果的なのです。
概ね食材の水分を30%ほどに抑えると腐敗細菌などが繁殖しにくくなります。
干物は天日や風で身に含まれている水分(水分活性)を減らすことで、微生物が繁殖しづらくなることを利用しているのです。
画像出典元:http://blog.buritsu.com/izakayamurakami/?p=3127
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