さてさて、サケのお話も気が付けば7話になってしまいました…。
こんがりと朱色に焼けたサケの身をアチアチと頬張りつつ、このサケは太平洋を回遊していたんだなぁとしみじみした夕食でした。
サケが川で生まれてから海に向かい、成長期から成熟期にかけて広い海原を回遊することは皆さんご存知のことと思います。
前回、なかなか解明できなかったサケの回遊経路について、遺伝子を用いた標識によって解明されつつあることを綴りました。
では、日本で生まれたサケはどこの海域を回遊するのでしょうか。
日本の河川で生まれたサケは、雪が解けた春になると海に降りてゆきます。
海に降りた稚魚たちはいきなり回遊行動に出るのではなく、1~3カ月の間は河口近くの沿岸部に留まります。
この間に強い遊泳力を養い、様々な餌を食べられるようになって、長距離に渡る遊泳行動がこなせるタフな体が出来上がります。
そして北海道の沿岸から寒流が離岸する初夏になると、サケの群れはオホーツク海に進路を取るのです。
オホーツク海は樺太、千島列島、カムチャッカ半島に囲まれている比較的閉ざされた海域で、天敵になる競合種の存在が少なく、そして餌が豊富にあるのです。
夏をオホーツク海で過ごしたサケの若魚の群れは、晩秋になると北太平洋の西部に進んで最初の冬を迎えます。
この海域の冬場の水温はおよそ4℃と大変冷たいのですが、サケが冬場に冷たい水温帯で生息する理由として体の代謝を抑えるためという説があります。
翌年の春になると更に北へ進路を取り、ロシアとアラスカに挟まれたベーリング海へ向かいます。
このベーリング海・海域は日本で生まれたサケが集う場所で、自分たちより前の年に生まれた“先輩”が待っているので、これより先は一緒に回遊行動を取ります。
春から秋にかけて、このベーリング海で沢山餌を食べて生活します。
秋が深まった11頃になると、サケの群れはアラスカ沖合のアラスカ湾で越冬します。
そして、これより先は春から夏はベーリング海、冬季はアラスカ湾を往復する回遊が続き、サケは成長期を過ごします。
産まれてから4年ほど経過したサケは成熟期にステージが移ります。
成熟期に達したサケは、最後の夏をベーリング海で過ごした後、秋以降には千島列島沖を南下します。
そして日本沿岸に辿りついたサケは、最後の力を振り絞って自分が生まれた母川を遡上して、産卵した卵に次の世代の繁栄を託すのです。
画像出典元:http://blogs.yahoo.co.jp/pigumon9/54196610.html