魚にはそれぞれ種類によって食べ頃の旬が違うことは皆さんご存知でしょうが、これは魚の大きさによって異なるということは知っていますか?
この“旬”というのは、実は成魚の身の旨さについてなのです。
魚が成魚になると、次世代の子孫の繁栄のために繁殖という重要な活動を行います。
これは魚に限らず全ての生き物の定めですね。
繁殖に際してオスは精巣、メスは卵巣といった生殖の準備と、十分耐えられるだけの体力を付ける準備をしなければならず、産卵期より数か月前から準備をはじめます。
餌を沢山食べて栄養を十分に取りますが、そのときが一番身に栄養や脂肪が乗って旨い時期なのです。
そのため産卵期の数か月前と一番美味しい旬の時期が一致します。
一方、まだ繁殖活動に参加できない若い魚についてはどうでしょうか。
まだ繁殖には関係がないので脂肪分は成魚より少ないものの、季節によって太ったり痩せたりすることが少ないので、味は一年を通じて安定したものになります。
たとえばマグロ、冬は身にたっぷり脂肪が付いて濃厚な旨味が楽しめますが、夏になると脂肪分が落ちて味も落ちてしまいます。
それに対してマグロの子の“メジマグロ”は脂肪分が多くなく、所謂トロという部分は少ないですが常に味は一定で、若い魚なので柔らかい肉の食感が楽しめます。
そしてブリ、春の産卵期を控えた真冬のものは大変旨いので“寒ブリ”と呼ばれて流通していますが、産卵期を過ぎたものは脂がなくなり身もすっかり痩せてしまっています。
味も冬に比べて大分落ちますが、それよりこの時期のブリは筋肉にムギワラと呼ばれるブリ糸状虫が寄生しており、捌いたときにグロデスクな状態になってしまいます。
ですが、ブリの若魚の“ハマチ”や“イナダ”は年中味が変わりません。
身近な魚では、サバは「秋サバは嫁に食わすな」という言葉があるほど、秋から冬にかけては非常に脂肪が乗って美味しいですが、夏のサバは身が硬くざらついた食感で味もいまいちですが、子サバはそうでもありません。
他にも、大きいものは“オオバイワシ”と呼ばれているマイワシは、春の産卵期を迎えた直前のものはやはり非常に脂が乗って濃厚な旨さが楽しめますが、夏のものは太っていても脂肪の付きが今ひとつで味も落ちます。
それに対して若いマイワシは脂肪量は多くはないもの、通年安定した味わいが継続します。
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