青いお話 その2


前回の続きです。
さて私どもサカマ図鑑読者が「青いお魚」と言えば、何てたって青物ですよね。
イワシやサバ、サンマ…旨いですからねぇ、ご飯が何杯でも進んでしまいます。
基本的に青物の魚とは「背が青い魚」を意味します。
これは外観や魚の肉質などから見た便宜上または実用的な括り方で、魚の科学的、分類的見地によるものではないのです。
イワシ、サバ、サンマいずれも各々魚の種属があり、これらの間に近縁関係はありません。
青物魚の最も大きな特徴として背は青く、腹は白や銀色であることが挙げられますが、これらの魚は海中の表層近くが生息環境で、漁業的に浮魚と呼ばれます。
群れで遊泳または潮の流れに乗って大規模な回遊をして過ごしています。
これまでに赤い魚や青い魚、いずれも各々が生息する周囲の環境に擬態していることを綴りましたが、今回の「青物魚」も例外ではありません。
背の部分は上から見ると海の表層色に溶け込み、腹の部分は海中から見上げると光って眩しい水面に紛れているので目に付きにくいのです。
青物魚は主に水中の動植物プランクトンを食べて生きている魚で、大型肉食魚に食べられやすいという、海の食物連鎖では低いカテゴリに属しています。
自分が生息する環境を上手に使った保護色があり、外敵から身を守る術を持っているのですね…と素直に言えないことがひとつあるのです。
青物を捕食する大型肉食魚のマグロやカツオ、ブリ類なども生息環境の視点では「青物」に含まれてしまいます。
もっとも、これらの魚も表層回遊魚で更に高次の食物連鎖の位置に立つサメやシャチなどから身を守る必要があるために生息環境に適した擬態をする必要があるのでしょうが、一般的には青物魚に含まれませんよね。
あくまでも「青物魚」とは比較的小さく、纏まった大量の数が獲れ、単価が安い大衆魚のことなのです。
そして上記のこと以外にも魚の身の構成で青物魚の共通点があります。
魚の筋肉は遊泳に適した赤身で、酵素を活性化するヒスタジンという必須アミノ酸が多く含まれているため鮮度の低下が早いです。
そして身の脂質には、脂質代謝、高血圧が改善されるエイコサペンタイン酸(EPA)、脳の働きを助けるドコサヘキサエン酸(DHA)など不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
そのため青物魚は魚種が違えど、取り扱いや料理方法は共通点が沢山あります。
そしてやっぱりご飯が進む…夏が近いのにお腹がちっとも凹まない。どうしたものだ。
画像出典元:http://sakisakana.exblog.jp/19566427

 

青いお話 その1

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