平塚漁協が取り組んだ第6次産業の布石 その11

平塚食堂の開店に当たり、食堂の設置場所の選定とともに重要なことは“人材の選定”でした。
平塚漁港にある食堂は自分たちで全て料理をしなければなりません。
通常、飲食店では材料は食品メーカーから仕入れすることがほとんどで、その食材はある程度加工、調理されているので、軽く揚げる、または焼けば完成するものもあれば、ほとんど出来上がっているので少々手を加えればお客に出せる商品のものもあります。
しかし、ここ平塚食堂では水揚げされた丸々の魚を仕入れして、ウロコを取って内臓を抜いて、骨を抜いて皮を剥くなど全ての作業をする必要があり、調理を担当する人は魚の知識があるエキスパートでなければなりません。
また、仕入れをする人は市場に水揚された魚を目利きできることが絶対条件なので、元漁業従事者が担当しています。

そして調理をする職人と仕入れする魚のプロのほかにも、この食堂を支える大切なスタッフが多数存在します。
それは地元住民で、70歳以上のスタッフが元気よく店の厨房やフロアで活躍しています。
定年退職を迎えた住民が“地元のため”、または地域社会と接点を持つことをいきがいとして働いています。
スタッフの中にはロコロジが運営している他店舗の常連のお客で、この“平塚食堂”の構想が出たときに是非手伝いたいという人もいて、平塚というコンパクトな街だからある出来事だったのです。

さて、平塚食堂に入ると天井が高くカフェテリアのような広い空間に驚きます。
いわゆる漁港にありがちな掘立小屋風でもなければ、港湾関係者が使うような武骨な食堂ではありません。
おしゃれな“港の食堂”らしかぬ店内にした理由、それは「地元の人々が地元の食材を使った美味しい料理を食べてもらいたい」ということです。
平塚市、あるいは近隣の市町村に居住している人々が気楽にいつもここで食事をしたいと思うような店は、一軒の飲食店として見てもらい“良い店だ”と思わせるようにしなければならないのです。
家族のだんらんや主婦たちのママ会など地域住民の日々の生活のあらゆる場面で、この平塚食堂を活用してもらうことが今後の夢であり、使命なのです。
開店直後はテレビなどマスコミの紹介で大きな集客になりますが、それよりも長くにわたって地域住民に愛される店でありたいのが、この食堂の開設・運営に携わる人たちの希望です。

画像出典元:http://hiratsuka-arekore.info/gourmet/hiratsukagyokounoshokudo

 

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