多くの鉄道会社は本業の鉄道業以外にも、バスやタクシーなど自動車部門や、不動産、飲食、小売、ホテルなど多角的な営業を展開しています。
基本的に鉄道を通している沿線住民の生活に関わる需要拡大を図るために様々な事業を展開していますが、意外なものでは農業や自動車学校、病院、地方空港のカウンター業務などを事業にしている鉄道会社もあります。
ときに「宝塚歌劇団」を運営しているのは阪急電鉄ということは知っている方が多いと思いますが、劇団に所属する団員は阪急の社員であることは知っていました?
さて、お魚さんのお話に戻します。
近畿から本州西に鉄道を展開するJR西日本では、牡蠣やサクラマスなど魚介類の養殖を始めたのです。
2017年からの5カ年計画で「地域との共生」を掲げており、沿線人口が減少している西日本地区の地域商品の開発、製造、流通にも力を入れるとしています。
2016年12月、瀬戸内海にある大崎上島(広島県)で牡蠣の養殖が開始されました。
JR西日本と地元の養殖会社「ファームスズキ」、大阪府に本社がある飲食店経営の「オペレーションファクトリー」がタッグを組み、事業開始に至りました。
商品名は「オイスターぼんぼん」、箱入りお坊ちゃまのように大切に育てることから命名されました。
生食ができる牡蠣として販売をするにあたり、とても面白い養殖の取り組みがされています。
通常、牡蠣の養殖は海中で行いますが、「オイスターぼんぼん」は陸上で塩田跡の養殖池で生産されます。
陸上養殖にあたり深さ20メートルから汲み上げた地下海水を使いますが、この地下海水はろ過されているため、不純物がとても少ないきれいな水です。
そのためノロウィルスが付着するリスクが低くなり、生食可能な牡蠣が出来上がります。
また、地下海水には牡蠣の餌となる植物プランクトンが豊富に含まれているため、成長が早いことが自慢です。
「オイスターぼんぼん」には生食ができて、身持ちがいいという高い付加価値があります。
JR西日本ではこの高い付加価値が、他のブランド牡蠣といい競争ができると見ています。
昨年12月、オペレーションファクトリーが運営する大阪梅田と東京新宿のオイスターバーにて数量限定で提供を始めました。
ひとまず1個200円台の価格帯で販売して、好評ならば更に製造数量を増やすことを予定しています。