こんにちはジョージです!
最近テレビやラジオなどのメディアに耳にするようになってきた「未利用魚(みりようぎょ)」ってご存じでしょうか?
市場に流通しないお魚の総称ですが、漁獲量の減少やエシカル消費への意識の高まりから近年注目を浴びるようになってきています。
今日はそんな未利用魚についてのちょっぴり社会的トピックの記事になります。
ぜひ最後までお付き合いください!
そもそも未利用魚の定義とは
未利用魚とは読んで字のごとく「利用されない魚」のことですが、利用されないのにはいくつかの理由があります。
①サイズが小さく、利用価値が低い。
②骨が多いなどの理由で処理に手間がかかる。
③獲れすぎて過剰供給となるもの。
④獲れても数がまとまらない。
⑤鮮度落ちが早く、流通に向かないとされている。
⑥その場所では利用されていない、食べる習慣がない。
⑦知名度が低い。
主にはこういった理由で「未利用魚」となることが多いです。
なので一概に未利用魚といっても、そのお魚たちが利用されない背景にはさまざまな理由があるので、場所によっては利用価値があって市場に流通している場合もあります。
未利用魚の一例
アジ(①サイズが小さく、利用価値が低い)
なぜ大衆魚なのに未利用魚なの?スーパーにもあるじゃん!って思いますよね。そうなんです。未利用魚と一般流通しているお魚は表裏一体、みなさんが小売店で見ているのはほんの一部です。
未利用魚とされているのは「豆アジ」やさらに小さい「仁丹」と呼ばれるような極小サイズのものです。1回の定置網漁で多いときで数トンも獲れてしまうようなときもあり、市場におろしてもほとんど値が付かないときもあります。
ヒラ(②骨が多いなどの理由で処理に手間がかかる)
ヒラはとても小骨が多いものの味はとても良いので、長崎県、岡山県、香川県で主に食用とされていますが、他の地域ではほとんど流通しないようです。
イワシ(③獲れすぎて過剰供給となるもの)
アジに引き続き、大衆魚の代表格のイワシ。こちらも定置網などで数十トン単位で大量に水揚げされることがあり、条件によっては未利用魚となる場合があります。
大漁は喜ばしいことですが、小魚が大漁すぎても問題が起こる場合があるのが難しいところです。
オジサン(④獲れても数がまとまらない)
そんなふざけた名前の魚がいるのかと言われそうですが、いるんです。口元に生えたヒゲが最大の特徴で、ヒメジ科の魚を総称して「オジサン」と呼ぶことが多いです。
世界的には食用とされている魚で、特にフランス料理では重宝されます。
まとまって取れるとある程度値が付くことがありますが、市場の規格に満たなかったりすると未利用魚として扱われることがあります。
また、鮮度落ちが早いことも敬遠されるひとつの理由にもなっています。
アイゴ(⑤鮮度落ちが早く、流通に向かないとされている)
アイゴは西日本ではおなじみの魚ですが、東日本ではあまりお目にかかることはないと思います。
背びれに毒があることが特徴で、鮮度落ちが早いことから、小さいサイズや傷がついた個体は市場では値が付かず未利用魚となることがあります。
ニザダイ(⑥その場所では利用されていない、食べる習慣がない)
ニザダイは磯臭い魚の代表格としても有名で、特に磯釣りをする方にとってはおなじみのお魚です。
匂いに個体差はあるものの、特に冬場は脂の乗っているものも多いのですが、場所によってはその独特の磯臭さのある個体がいることから敬遠されており、未利用魚となっている場合があります。
コバンザメ(⑦知名度が低い)
なかなかキュートな見た目のコバンザメは、水族館のジンベイザメのおなかにくっついている姿がおなじみのお魚です。
「コバンザメ」という呼び方とは裏腹に、サメの仲間ではなくれっきとしたお魚であり、良質な個体はとても味が良いので好んで食べる人もいるくらいです。
ただ、食用としての知名度は高いとは言えず、場所によっては未利用魚となる場合があります。
未利用魚は売れるのか?
お買い得品として販売される未利用魚
ちかごろ、未利用魚はエシカル消費への意識の高まりからテレビやラジオなどのメディアでも取り上げられることが多くなりました。
あまり陽の目を浴びることのない水産業がそのような形で取り上げられることは、一般の消費者にとって考えるきっかけにもなるで、とてもいいことだと感じています。
最近では、サカマが運営する「サカマアプリ」「サカマ市場」など、産直サービスが増えてきたことから、消費者が直接生産者や購入する機会も増加しました。それに伴い多くのサービスで未利用魚の類似商品が販売されています。
インターネットで未利用魚を購入しようとすると、「お買い得」や「メディアに掲載された」などのワードが並びます。
中には「活〆ヒラメ入り」や「高級魚入り」などの商品もあり、「ほんとにこれが未利用魚?」と思うようなものまで販売されています。
消費者のイメージする未利用魚
前述の通り、「未利用魚」となる理由と言うのは一つだけではなく様々な理由があります。
もちろんサイズも親指サイズの小さなアジから、50cmを超えるようなシイラ、市場で値段がつかないような評価の低い魚もあれば、数がまとまらなかったことで出荷できない高級魚も未利用魚となる場合があります。
その中でも消費者にとってイメージしやすいのはやはり、
④獲れても数がまとまらない。
⑤鮮度落ちが早く、流通に向かないとされている。
⑥その場所では利用されていない。(食べる習慣がない)
⑦知名度が低い。
なのでしょう。
これらの理由で未利用魚とされているお魚は、いずれもサイズや味、処理については全く問題にならないため、商品価値が低いわけではないので当然といえば当然です。
実際にメディアで取り上げられる未利用魚もこれらの理由によるものが多いように感じます。
確かに、その魚の味を知っている人や消費する場所が変われば評価が全く変わることもあるので「もったいない!」と感じやすいのも事実だと思います。
消費者と生産者でのギャップ
現実問題、商品価値が低いわけではない未利用魚たちがインターネットで流通することで、漁業者の所得向上につながることはとても意義のあることです。
ただ海や漁法が変われば必ずしも未利用魚もそういった理由だけとは限りません。
小アジや小サバしか網に入らず、まったく収入にならないようなときも中にはあります。
先ほどとは違い、
①サイズが小さく、利用価値が低い。
②骨が多いなどの理由で処理に手間がかかる。
③獲れすぎて過剰供給となるもの。
こういった理由の未利用魚たちは、残念ながら商品価値は低いと言わざるを得ません。
ただ現実としてこれらも未利用魚として扱われていることには変わりなく、④~⑦に比べるとかなりの数(重量)になります。
サカマで販売している「チャレンジフィッシュボックス」では、さまざまな理由で未利用魚となっているものが販売されていますが、さまざまな声が届いています。
「この値段でこんなに入っていてお得感満載だった」
「下処理や調理は大変だったが、楽しかった」
という声がある一方
「小アジや小サバばっかでがっかりした」
「思っている未利用魚と違った」
など、正直な声もありました。
届いた内容に差はあれど、一定数の人が「商品価値がある未利用魚」=「未利用魚」というイメージを持っていることはお魚を獲る生産者とのギャップを感じました。
まとめ
「未利用魚」といっても、未利用となっている背景にはさまざまな理由があります。
ですがその中でも、「もともと商品価値があるお魚」なのか「商品価値が低いお魚」なのかで、消費者と生産者の間でのギャップがあることが現実です。
さまざまなサービスや商品として未利用魚を利活用する動きがさかんに行われていますが、商品価値が低い未利用魚が消費できるようになって、初めて未利用魚の活用と言えるのではないでしょうか。