皆さま、こんにちは!うぉーらると申します!
初めましての方は初めまして!
私のことは“大学で生物を学ぶお魚好き”と認識していただければと思います(笑)
前回「生物学的視点から見た海の温暖化」というテーマで執筆した記事にて、海の温暖化が魚に与える影響として「オス化を促進する」ことをご紹介しました。
皆さま、興味深く思っていただけましたでしょうか?
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらの記事もご覧ください!
この機会をきっかけに、海の温暖化と魚との関係性に興味を持ち、ネットを使って論文等を調べてみました。
すると、いろいろと興味深い影響が見つかりました。
そこで前回に引き続き、今回も海の温暖化が魚に与える影響についての内容をご紹介したいと思います!
今回は海の塩分濃度の変化についてです。
地球温暖化が海の塩分濃度を変化させるメカニズムについて
地球温暖化によって海の塩分濃度が変化すると聞いて、皆さまはこのメカニズムが分かりますか?
思いついた皆さまは流石です👏
以降、詳しく説明いたします。
地球温暖化によって陸上の氷河・氷床が溶けて海に流れ込み、海水の量が増えているということは多くの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか?
さらに、それが原因で海水面が上昇することで、海抜が低い島国が水没する可能性があるということも、地球温暖化による悪影響としてよく挙げられています。
この海水量の増加が与える影響は水没だけではなく、海の環境にも影響を与えていると考えられています。
それが「塩分濃度の変化」です。
塩分濃度が高い液体に真水を加えると薄くなることは全員想像がつくと思います。
これと同様のことが海で生じていると考えてください。
つまり、海水(塩分濃度が高い液体)に氷が溶けた水(真水)が加わることで、海水の塩分濃度が減少することとなります。
これが、地球温暖化によって海の塩分濃度が変化するメカニズムです。
実際に海の塩分濃度は変化している!
それでは、実際に先述した海の塩分濃度の変化が生じているのかというと、
答えは“YES”です。
こちらの図をご覧ください。
こちらは、オーストラリア南部の海域各地で数十年に亘って海水温と塩分濃度を測定し、その変化を示した図となります。
海水温の変化がΔθ、塩分濃度の変化がΔSで表されています。
ここで注目していただきたいのが、右上の赤で囲んだ箇所です。
見ての通り、Δθつまり海水温は現代になるほど上昇している一方で、ΔSつまり海の塩分濃度は減少していると示されています。
この結果より、確かに地球温暖化によって海の塩分濃度の変化が生じてそうです。
海の塩分濃度の変化が魚に与える影響とは?
さて皆さま、お待たせしました。
ようやくメインテーマである魚との関係性についてです!
先ほどまでご説明してきた“海の塩分濃度の変化”は“魚”に何か影響を与えるのでしょうか?
こんな言い方をするということは…
そうです、影響アリと考えられています。
今回参考にした論文によると、
塩分濃度の変化は、
・摂餌行動、成長性能、浸透圧調節に悪影響を与えるため、魚の生存を著しく脅かす。
・過剰な活性酸素の産生を促し、不飽和脂肪酸の分解、脂質やタンパク質の参加を特徴とする酸化ストレスを発生させるため、一連のストレス反応の引き金となる。
・魚の繁殖や発育を脅かす。
といった影響を与える可能性があると述べられています。
各影響について詳しく解説すると、非常に長い記事になってしまうので割愛させていただきますが、
とにかく“いくつか良くない影響を及ぼす可能性が考えられている”と思っていただければと思います。
詳しく知りたい方は上記に記載した参考論文をご覧ください。
まとめ
今回は「海の塩分濃度の変化が魚に与える影響」というテーマでお届けしました。
まとめとしては、
「地球温暖化で地球上の氷が溶けることによる海水量の増加によって、海の塩分濃度が変化し、それが魚に悪影響を与える可能性が推測されている。」
という内容となります。
皆さま、ご理解いただけましたでしょうか?
今回の内容の他にも、地球温暖化が海の生物に与え得る影響は数多く存在します。
それらについて、まずは“知る”ことが大切であると私は考えています。
今回の記事が、地球温暖化が海の生物に与える影響について知る・考えるきっかけとなったのならば幸いです。
それでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!
さようなら!