夏しか食べられないのが新子ですね。6~7月に旬を迎えます。江戸っ子は新子を食べないと夏が来ないとまで言います。
夏場の限られた時期しか市場に出回りません。走りの時期にはとてつもない高値で取引されます。江戸前のすし屋では欠かすことができない寿司ネタです。
新子はコハダの稚魚ですが、東京のすし屋にとっては数ある寿司ネタの中でも最もこだわりを持って、大切に扱う魚です。
江戸っ子の気質を表す「女房を質に入れても初鰹を食べる」という意地と誇りと見栄の世界が、東京のすし屋の「新子」に対する世界ではいまだに生き残っているようです。
新子の初物としての仕入れ値は、1㎏3万円~5万円の値がつくこともあるのです。この値段が2週間ほど続くのですからすごいですね。
コハダの卸値は1㎏1000円~3000円ほどですが、3000円となると敬遠されるようになります。新子との価格差はこれほど大きいものがあるのです。
新子は生後4か月ほどの稚魚です。寿司職人は新子の初物が入ると快い緊張感を覚えるといいます。サイズが小さい繊細な魚です。
新子の仕込には寿司職人の技のすべてが集約され、寿司店の意地と誇りとメンツにかけてお客の舌を唸らせようと努力するのです。
新子は出世魚です。シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロと名前が変わります。
すし屋で新子が食べられるのは6~7月頃しか食べられません。
新子のおいしさを表す言葉に、「夏の初風が吹き始めるほんの数日間、新子はすし屋に登場する」という表現がなされます。
新子は体長およそ6~7㎝までの幼魚。
コハダは体長がおよそ12㎝までを言います。
ナカズミはおよそ15~16㎝くらい。
コノシロは体長が17㎝以上の成魚のことです。
新子は小さいけれど一番の高級魚です。次のコハダはぐんと値段が落ちます。その後ナカズミはもっと値が下がり、コノシロに至っては大変廉価に手に入る魚です。
新子からナカズミまではすし屋で大変な人気ですが、コノシロになると鮨には使いません。
コノシロは骨が多いが脂ののりがあって、塩焼きがおすすめのようです。
コノシロの「なれ寿司」もお勧めです。なれ寿司の本場和歌山県御坊市では、時間をかけて熟成させたコノシロを、なれずしにします。最高の「なれ寿司」を試してみたいものですね。
新子という呼び名は、いろんな魚にあるということが分かりました。本来新子とは汎用的な呼び名であり、関西地方で新子と言えば、「玉筋魚(いかなご)」の幼魚を指します。
この新子をボイルして乾燥させると、「かなぎちりめん」となり、このかなぎちりめんを佃煮にすると「小女子(こうなご)」となります。いかなごの幼魚を生のまま佃煮にすると「いかなごの釘煮」になります。
ほかにもアオリイカの稚魚なども新子と呼ばれるようです。調べればもっとたくさんあるかもしれませんね。