前回ではサンマの漁獲量減少が回遊コースに関連していることをお話ししました。
今回はもう少し突っ込んでゆきたいと思います。
2015年、北海道沖合のサンマ回遊コースに変化が生じたことを突き止めました。
サンマの漁場は暖かい黒潮と冷たい親潮がぶつかる地点で、冷たい海水と暖かい海水が交わる境界です。
ここは植物性プランクトンが豊富で栄養価がとても高く、動物性プランクトンがこれを食べて更に小魚が動物性プランクトンを食べ、サンマがこれらの小魚を食べるのです。
2014年の海況は北海道沖合に暖かい海水が迫り、サンマが回遊する経路の親潮が北海道付近に接近することができませんでした。
これには理由があり、この年は度重なる台風の接近で海水温が例年より高かったことが挙げられます。
ともあれ北海道沿岸に親潮が接近するとサンマの回遊コースがその付近になりますが、親潮が近づけないときは太平洋沖合でサンマが南に向けて回遊をするのです。
そのためサンマの漁場が例年よりも更に沖合になってしまいました。
つまり漁場が遠くなったことで、漁の大半が移動で時間が取られるようになってしまったのです。
そして台湾や中国をはじめ、外国籍の大型漁船の存在について見てゆきましょう。
これらの船は日本の200カイリ経済水域には入り込みませんが、境界近くの北太平洋で操業を行います。
船は1,000トンクラスの超大型漁船で夏場のサンマ生息地付近で連日漁を行い、根こそぎ水揚げしてしまうということがここ数年報じられています。
事実、2000年以降台湾のサンマ漁獲量は急激に増えて、2013年には日本の水揚げ量を抜いています。
しかし、ひとつ気にしなければならないことがあります。
確かに日本の沿岸で棒受け漁をするサンマ船と比べて非常に大きな漁船ですが、これらの船は沖合操業に特化した造りになっているものの、一日当たりの漁獲能力は日本より低いと見られています。
日本のサンマ漁船は水揚げしたサンマの“鮮度”が大切ですので、漁の航海は長くても一週間程度ですが、台湾のサンマ漁船は船内に冷凍保管設備を備えており長期間の航海ができるようになっています。
一日の漁獲能力が60トン程度で日本漁船の最大漁獲量100トンには及びませんが、遠洋漁業に特化しているのでサンマの回遊コースにあわせて漁場を変えることができます。
画像出典元:http://iterry.blog.so-net.ne.jp/2010-10-03