マイワシ生息数を読む その1


古来より日本人の食卓で、馴染みが深い魚介類のひとつにマイワシが挙げられます。
子供のときは小骨が多いイワシの料理は好きではありませんでしたが、ようやく大人になった頃、マイワシ(とくに大羽サイズ)の脂がとろける旨さが病みつきになってしまっています。
さてそんなマイワシですが、日本での水揚げ量は1988年(昭和63年)の451万トンをピークに1990年代に入ると急激な右肩下がりが続き、1993年(平成5年)には171万トンと5年の間で全盛期の1/3しか漁獲されませんでした。
その後もマイワシ水揚げの減少は続き、2005年(平成17年)になると2.8万トンと1988年の1/150まで落ちこみました。
このマイワシの急激な資源減少ですが、この平成初期に限った話ではなく、実は江戸時代や明治時代にも記録されているのです。
マイワシは魚類の中でも特に資源変動が大きい魚で、豊凶の周期は数十年から百年の長期的な数字と20~30年程度の短期的な数字が組み合わさっている複雑な変動があるのです。
この変動のメカニズムについて完全に解明がされていませんが、考えられることとしてマイワシの稚魚が餌にありつくことが出来るか・出来ないかでその後の資源数が決まることが挙げられます。
マイワシの稚魚は、主にコペポーダなど小さな動物プランクトンを食べて成長します。
地球的な気候や海況の変化により、海水中の植物・動物プランクトンの生成増殖パターンが付随して変わることがありますが、もしプランクトンが増えた場合、稚魚は餌に遭遇する確率が上がります。
そのとき稚魚の生存率が向上するため、年を越した魚群が形成され、やがて次の世代に繁栄が継続されます。
この状況が続いている限りマイワシの資源は潤沢にある訳ですが、もし海中のプランクトンが減少したという真逆の事象が発生した場合はどうなるでしょうか。
海況の悪化により稚魚は餌に遭遇する確率が減るのは明白ですから、やがて若い世代の魚より先に消えてしまいます。
マイワシが不漁になる直前、その年に生まれたものや1~2歳程度の若魚が殆どいなくなり、獲れるのは3歳以上ということが起きています。
また稚魚に限らず、マイワシの資源が最悪な状態には分布域が広く薄くなっていることや成長の悪化、成熟年齢の遅れ、産卵数の低下や卵の質の劣化など様々な要因が組み合わさります。
このことはマイワシ自身の密度調整的作用ではないかという意見があります。
画像出典元:http://fresh-aroz.com/?p=28

 

マイワシ生息数を読む その2

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