6月も中旬になり、西日本と東日本が相次いで梅雨入りしました。
じめじめとしたこの一カ月が過ぎると、灼熱の季節が到来です。
年々歳を重ねるに連れて、舐めるような日本の夏の暑さが体に堪えてきつつありますが、一年で最も生命活動が盛んな季節、やっぱりやって来るのは嬉しいものです。
夏場、船に乗っていて海面を眺めているとトビウオが飛んでいる姿が盛んに見られます。
真っ青な夏空の下、透き通る海の水面から飛び上がったトビウオが、キラキラと輝く太陽の光を受けて飛ぶ様はとても気分がいいものです。
世界中には2万種ほど魚の種類が存在していますが、空中を飛ぶことができる魚といえばこのトビウオだけなのです。
そのため“トビウオ”という呼び名は日本以外、例えばアメリカは“Fling Fish”、ドイツでは“Fliegende Fische(フリューゲンデ フィッシェ)”というように海外でも「飛ぶ魚」という意味合いで名付けられています。
ちなみに九州ではトビウオを“アゴ”という呼び名がありますが、これは顎が外れるほど美味しい魚という由来があるからなのです。
トビウオは日本周辺に30種弱、世界では50種の亜種が存在しています。
基本的に南方の温暖な海域に生息する魚で、日本で最も流通されている“ハマトビウオ”は北海道以南の太平洋に生息しており、トビウオの一部であるツクシトビウオ・ホソトビウオは本州以南の日本海側にも生息しています。
カツオやマグロと同じくトビウオも回遊をして生活する魚で、春先から夏にかけて日本沿岸に接近して産卵活動を行います。
水温が19~23度にかけてが最も産卵に適しており、水深10~30メートルの海藻や岩礁に産卵をします。
卵に数~20センチ程の長さの付着糸があり、これが海藻や岩に絡まって、また卵同士で絡まって、流されたり傷が付かないように保護する役割があります。
親の抱卵数は1.5万粒で、卵の大きさは1.5ミリ前後、産卵後10日から2週間で仔魚が孵化をします。
夏に産まれた仔魚は動物性プランクトンを食べて秋には稚魚に成長します。
そして水温が低くなる頃には南下をして九州南部方面で越冬をします。
稚魚は下顎がサヨリのように長く伸びており、幾分突き出ていますが、成長するに従って突き出た下あごが解消されます。
普段は海面の近く、深くても40メートル前後の水域で群れて泳ぎ回ります。
越冬後、翌年の夏には体長が20センチ以上になり、他のトビウオの群れと一緒になって太平洋を北上します。
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