節分を間近に控えた兵庫県明石市の漁協では、オリジナルのブランド海苔発売にこぎつけました。海苔は海の野菜といわれるほど、栄養価の高い食べ物です。
パリッとした食感に磯の香りが漂う海苔は、海苔巻寿司やおにぎりなどの和食には欠くことができませんね。そしてビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な健康にも大切な食品です。
全国第2位の海苔生産量を誇る兵庫県。中でも明石市はその40%を占めています。海苔生産は明石市の基幹産業でありながら、それほど世間の認知度は高くありませんでした。
明石市といえば世間の目は明石ダコに向いていました。ちなみに海苔生産量全国ランキング5位までを調べてみました。
1位 佐賀県有明
2位 兵庫県
3位 福岡県有明
4位 熊本県
5位 宮城県
今回明石漁協では5つの漁協がそれぞれオリジナルブランド海苔を開発し、明石海苔の良さを知ってもらうべく市の漁連が「明石新のり・恵方巻き祭り」を企画しました。
ブランド名は明石浦漁協が「明石のり」、林崎漁協が「海凪(みなぎ)」、江井ヶ島漁協が「嶋美人」、東二見漁協が「薫黒極(くんこくきわみ)」、西二見漁協が「誉(ほまれ)」を開発。
イベントは1月30日、「魚の棚商店街」で午前10時からブランド海苔を限定販売する予定です。それぞれ一袋5枚入り千円(税込)で販売します。
ブランド海苔の特徴は、「味、口どけ、香」のよさであり、最高級海苔と位置付けています。
明石のりがこれほどの美味しい海苔になるまでには、大変な苦労があったようです。
海苔生産業の後継者不足と高齢化により、深刻な状況にありました。
1990年代半ばごろから海苔が色落ちし、価格や生産量に直結する深刻な問題が発生しました。原因は瀬戸内海の栄養塩が不足しているためとわかりました。
70年~90年代にきれいな海を取り戻そうと、排水処理の規制を進め、近年では豊かな海を見据え、明石では海底の堆積物の撹拌と二枚貝放流、下水処理の窒素濃度上昇などを行ってきました。
5年前からは漁業者と農業者、学生や子供の協力を得、「里と海の連携・協働」を掲げ、冬場にかいほり(池干し)してため池の水や泥を海に流しました。昨年は11池で行ったようです。
兵庫海苔の知名度を高めるために、明石漁協では一昨年料理人を招いて東京で試食会を開いたり、昨夏にはイタリア・ミラノ万博で兵庫海苔を出店しています。
「海苔は生物の多様性が生み出す海の恵みの結晶」と関係者は考えています。
2016年の恵方は南南東。福を巻き込む太巻き寿司を1本丸ごと南南東に向かってかぶりつき、願い事をしながら黙々と最後まで食べきってください。
(出典 神戸新聞NEXT 2016年1月7日、 2016年1月14日)