秋田県の県魚、ハタハタ。
古くから伝わるハタハタの料理、そして風習など秋田の郷土文化とハタハタは切り離すことができません。
毎年、9月から6月にかけてハタハタ漁が行われます。
昭和40年代までは毎年2万トンもの水揚げがありましたが、漁獲過多などにより昭和50年代後半には100トン前後まで激減してしまいました。
ハタハタの資源回復を図るため、漁業者の根強い反発がありましたが平成4年から3年間、秋田県はハタハタを全面禁漁に踏み切ります。
そして禁漁期が明けた平成7年以降、ハタハタの資源維持のため年間の漁獲枠を設けて、資源維持に努めています。
漁獲枠の作成は県と県漁協でつくる「資源対策協議会」が、前年の漁獲量実績、県が沖合を底引き網で生態調査を行い、ハタハタの資源の推定量を算出します。
算出した数字の40%がその年の漁獲量になるのです。
平成20年には3,000トン以上の水揚げがありましたが、この年を境に減少傾向になり昨年平成26年度の漁獲量は1,680トンでした。
そして、今年は昨年の半分800トンに漁獲割り当てが減ったのです。
平成22年以降はハタハタの水揚げ量は漁獲枠の8割も獲れず、資源量算出の数字が過大に出されていることが考えられています。
また水揚げされた魚は若魚の割合が多かったことも看過できない理由の一つでした。
若魚が多いということは、これからハタハタが継続的に繁栄を続けることが阻害され、そのままでは資源量が先細りすることが確実になります。
秋田県はこれまでのハタハタ資源量算出の方法を見直して、算出の精度を上げました。
その結果、平成26年度の推定資源量が4,200トンに対して、本年平成27年度の推定資源量は2,000トンと半分以上も減ってしまったのです。
推定資源量の40%、つまり800トンが今年のハタハタ漁獲可能枠になったのです。
秋田県は緊急対策として、県議会で対策費2,678万円の予算案を提出しました。
また、来年1月以降にハタハタの卵の塊「ブリコ」1,000万粒を3年に渡り、県内8か所の漁港で放流する予定です。
ハタハタが卵を産み付けるホンダワラの生育調査を県内5か所の漁場で行います。
それ以外に漁港が稚魚の放流をするときは、県が事業費を半分補助することにしています。
また漁師が市場では値が付かない小型魚やブリコ、白子が落ちた魚など、禁止されている格安直接販売などの規制に乗り出しました。
この正規流通外の「系統外流通」はこれまでハタハタの水揚げ量には算出されていなかったことに加え、相当量の流通があったとみられています。
漁協と漁師で話し合った結果、県内の北浦漁港でハタハタの直売所を新設しました。
ここで獲れたて新鮮なハタハタを求めることができます。
系統外流通の防止を徹底するため、直接買いにきた人たちには漁協の直売所へ案内することや、船から直接購入しない旨を記載した看板を設置しています。
県をはじめ漁協、漁師、そして利用者の協力によって、ハタハタの資源回復の道が開かれるのですね。