離島のお魚を新鮮なままで…急速冷凍技術の活用


日本には東京都が管轄の小笠原諸島、鹿児島県が管轄の熊毛、奄美諸島、沖縄県が管轄する宮古、八重山諸島などの尖閣諸島など沢山の離島が存在します。

島の周辺は海に囲まれ、豊かな水産資源があるのです。
地域の特産の魚が獲れ、漁業産業がさかんな一方で、消費地と距離があるために鮮度が保つのが難しいという流通の課題がありますが、鹿児島県では離島からの流通改善に乗り出しています。

鹿児島県の有人離島は28島あり、人口は合計17万人です。
島で少量しか獲れない魚は、島内で消費して独自の食文化を築いています。
一方、カツオやマグロなど、島内の消費量よりも多く獲れる魚はフェリーで鹿児島市方面へ島外出荷されます。
鹿児島市には市営の公設中央卸売市場魚類市場があり、県内外から運ばれてきた様々な種類の魚がここで取引されています。
島によっては鹿児島港までの所要時間が40時間以上かかる場合があり、漁獲してから市場に並ぶまで3日ほど要するため、近隣で漁獲された魚よりも鮮度が落ちて、浜値が安くなってしまうことがあります。

近年、離島では流通のハンディを克服するため、急速冷凍機を使用して鮮度を保ったまま島外出荷をする試みが始まっています。
冷凍をするにあたり高い鮮度は勿論のこと、品質や美味しさを落とさずにすることが第一の課題でした。
ヒントは遠洋マグロ船にありました。

通常、魚を冷凍させたとき-1~-5℃までの温度の間が氷の結晶が出来やすく、かつ氷結晶が大きくなります。
大きな氷結晶が出来る過程で、魚の身の繊維が壊れてしまいます。
そのため実験した結果、この温度帯を如何に早く通過させるかが重要ということを突き止めました。
急速冷凍により、凍結されても鮮度がいい魚は品質がいい刺身などの商材に使えます。
更に実験を行い、急速冷凍で氷結晶ができる温度帯を通過するには30分以内ということが判明しました。

そして、離島漁業は漁場が港から近いということが一つのカギになります。
つまり、漁獲した直後から鮮度の低下が始まるので、近い漁場から漁港までの時間がかからず、漁港に到着後すぐに急速冷凍が行えるのです。
最近の研究で、鮮度が高い魚の急速冷凍により魚の筋肉に含まれる成分(ATP:アデノシン三リン酸)が冷凍中のタンパク質変化を食い止めることや、解凍したときに旨みの成分であるイノシン酸が多く含まれていることが判明しています。

急速冷凍で魚の賞味期限が大幅に伸び、商品価値が増すことに成功したのです。
また冷凍により寄生虫が死滅するため、寄生虫対策にもなります。
高品質で中央に卸すという、離島にとって漁業産業の更なる発展に繋がりました。

 

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