カワハギは見た目がかわいい魚ですね。四季を通じておいしくいただける魚です。北海道から南の日本各地の岩場や砂底に群れで生息しています。瀬戸内海などは漁獲量も多く、地引網や定置網で漁獲されます。
カワハギを調理するとき、口先から尾に向かって皮を剥ぎ取ります。この調理法からカワハギと呼ばれるようになったと伝えられています。
カワハギの身は白身で食感もよく、あっさりした淡白な口当たりは、河豚に似ています。カワハギは鮮度のいいものは薄造りの刺身がおいしいですね。汁物の実として使ったり、煮魚やてんぷら、焼き魚、ムニエル、揚げ物、みそ漬け、干物などもいいですね。
関西ではカワハギをハゲと呼んでいますが、ハゲの肝を好んで食べます。ハゲの肝は大きく、刺身として食べるもよし、肝醤油を作って刺身につけて食べるのもおいしいですね。アンコウの肝を思わせる濃厚な味わいがあります。鍋物などによく利用されます。
カワハギは高タンパク、低脂質で、DHAやEPAを豊富に含んでいます。
DHAは脳の成長を促進してくれる栄養素で「脳の栄養」と呼ばれています。学習能力や記憶力に影響のある栄養素です。
コレステロールや中性脂肪を減らす効果があるため、生活習慣病の予防やダイエットに効果があります。
EPAは血液をサラサラにする栄養素です。動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病の予防には最適です。
万病の予防ができておいしい魚、カワハギはいいことづくめの魚ですね。
カワハギ。その呼び名の多さには驚きます。「バクチ」「千歯」「マルハゲ」「ハギ」「メイボ」「クロギ」「ヨソギ」「ラケット」「チョイチョイ」「ツノコ」「カワムキ」「コゴモリ」「カワハジャー」Leather Fish (革魚)、File Fish (ヤスリ魚)、Porky(太った豚) 、Fool fish(バカ)
戦時中はその皮がサンドペーパーの代用として使われたといわれています。鮫の皮はわさびのすりおろし用に今も使われていますが、どうしてカワハギのそれはなくなったのでしょう。
かわはぎのなかまは種類も多く、日本近海だけでも12属23種が生息しています。
かわはぎの旬は、6~8月。一年を通じて食べられるため、旬の感覚は希薄になっています。子持ちの時期にあたる夏が旬といわれます。
魚屋の店頭には、皮を剥がれたカワハギが並んでいます。皮つきのカワハギはほとんど見かけないような気がします。新鮮なうちに調理しているからでしょうね。いつ見ても店頭に並んでいるため、季節感を感じさせない魚になったようですね。
俳句の季語にも「皮剥」は夏の季語となっていますが、カワハギを詠んだ俳句が見当たりません。季節感がなくなってしまったからでしょうか。少しさみしい気がします。