虎魚(オコゼ)


見た目で判断しないで!外見からは想像できないおいしさ抜群の魚、オコゼです。
漁師さんや釣り人からは嫌われ者でした。背びれに毒をもった鋭い針があるため、下手に触ると大変な目に合うため、敬遠されがちな魚でした。

オコゼにはオニオコゼとハオコゼがあります。ハオコゼは食用にはなりません。漁師さんや釣り人はこのハオコゼがかかるたびに嫌な思いをするそうです。食用はオニオコゼです。

ハオコゼは小さくてかわいらしいということで、観賞用に水槽で飼う人もいます。体長は10㎝ほど、体の色は白、赤、黒、褐色が鮮やかに入り混じっており、観賞に適しています。

オコゼは俗称「ヤマノカミ」といわれ、「山の神」への供物にする風習から来ています。山の神は不器量で嫉妬深い女神でよく荒れますが、醜いオコゼの顔を見ると安心して静まるといわれています。

南方熊楠の随筆に、和歌山県南部にはオコゼを山の神に奉った伝承が記されています。漁師がオコゼを隠し持って山の神に「これを差し上げるからイノシシを出してほしい」と頼むと、山の神はオコゼ欲しさにイノシシを山から追い出し、漁師はそれを獲ることができたといわれています。オコゼ欲しさに何度でもイノシシを出してくれたと伝えられています。

オコゼの語源は「痴ずく(おこずく)」から来ており、ずきずき痛むという意味で、オコゼの背びれには棘の間の被膜に猛毒があるため、刺されると激痛が走ります。

関西では「夏のフグ」とも言われ、夏場によく食されます。産卵期は初夏、本州中部から東シナ海沿岸に生息しており、特別な産地はないが、九州や瀬戸内海で多く獲れる魚です。

薄づくりの刺身や、ちり鍋、から揚げ、煮つけで食べる、夏が旬の魚です。
夏から晩秋にかけてもおいしく食べられます。旬は冬という説もありますが、俳句では夏の季語となっています。年中獲ることができるおいしい魚です。

全長は約30㎝ほどになりますが、ここまで育つには3年以上かかります。
外見の醜さからは考えられないようないおいしさで、透き通るような白身と、程よい歯ごたえ、さっぱりした後味が魅力の魚です。

生け造り、から揚げ、味噌汁などで味わうと、上品なうまさを引き出せます。しかし値段は庶民にはちょっと高すぎるかな?家庭で調理も難しいかもしれませんが、ネットでは調理の仕方も習得できそうですよ。
最近では漁獲量も減っており、香川県では養殖も行っているようです。瀬戸内地方の漁師さんは、オコゼを使った「漁師めし」を考案しているようです。楽しみですね。ぜひ一度食べてみたいものです。

「釣られたる 虎魚の怒り 全身に」  今井千鶴子さんの句です。
「貌に似ぬ 珍味おこぜの 薄づくり」 古賀幹人さんの句です。

新鮮な鮮魚が手軽に買える、サカマアプリ

blank

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事