水圧のおはなし その3

さて前回の続き、水圧が高い環境で生活する深海魚の呼吸についてお話ししてゆきましょう。
水深数百メートルで生活するオキアミやエビの仲間は、水圧が上昇すると呼吸量が増すことが判明していますが、これは水温に関わらず、水圧が上昇すると酸素消費量が増えてゆくのです。
もっとも、低温時の方が高温より加圧による酸素消費量の増加はやや鈍いことも分かっています。
この事実を深海魚に置き換えてみると、水深が深くなるに従って水圧が高まり、呼吸量が増えてゆくこととなりますが、一方で深いほど水温が低いので呼吸量が少なくなるように働きます。
つまり、水温と水圧の影響が正反対に組み合わさっている環境下で、オキアミやエビなどの甲殻類の呼吸量はほぼ一定しています。
そのため、深いところで生活している動物は上下に移動しても、代謝の速度はほとんど変化がないのです。

外洋では数十気圧におよぶ水圧の変化があっても、全然気にもせずに行き来をする魚もあるのです。
魚群探知機で海中の魚影を探しているとき、数百メートルの深さにある“プランクトンの塊”を見つけるときがありますが、これを“深層超音波散乱層”といいます。
ずっと魚群探知機でこの深層超音波散乱層をモニターしていると、夕方になったとき散乱層は急激に上昇して夜間はずっと海面付近に停滞します。
そして夜明けが近づくと突如として沈下を始め、朝日が海を照らすころには数百メートルのもといた深さのところに戻ります。

この“プランクトンの塊”に網を入れると、無数の小型動物プランクトンをはじめオキアミなど小さな甲殻類、イカ、ハダカイワシなどが入り混じって獲れるのです。
この“深層超音波散乱層”の正体はこれらの小さな動物の集団で、一日周期で昇降回遊を繰り返しているのです。

ハダカイワシは概ね水深250メートルより深いところに生活しており、昼間はここで漂って寝て過ごします。
寝相が様々なのが面白く、水平に姿勢を保つばかりではなく、頭を上に向けて立っていたり、逆に逆立ちしていたりしています。
そして夕方になり海が暗くなると一斉に起きだし海面付近まで一気に浮上をすると、餌となる動物プランクトンを腹いっぱいになるまで食べているのです。
画像出典元:https://blogs.yahoo.co.jp/madameako/39328585.html

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