水深が10メートル増すごとに水圧は1気圧ずつ高くなってきます。
海洋には表層付近を泳ぐ魚、水中で生活する魚、そして深海で生活する魚と様々です。
なかにはクジラやサメのように表層から深海を縦横無尽に泳ぐ魚もあります。
海中で生活している以上、どんな深度であっても彼らはいつも常に水圧を受けています。
世界一深い海溝はマリアナ海溝のチャレンジャー海淵は10,920メートルですが、そこにはシタビレメに似たカレイの一種が生活するといわれており、そこで生活する魚は常に1,000気圧以上の圧力を受けて生きているのです。
そう考えると深海魚っていうのは本当に不思議なものですね。
さて、魚はエラで呼吸をします。
エラは陸上生物の肺とは異なり、高圧のために押し潰されてしまうことはありません。
しかし深海という世界は太陽の光が届かない暗い世界、水温が低く溶存酸素量が少ない過酷なものなのです。
深海魚の呼吸量はどれ程あるのか興味があるところですが、水深1,000メートル前後で生活する魚の呼吸量は測定されているものの、深海数千メートルで生活する魚の呼吸量はまだ明らかにはなっていません。
過去に水深1,200メートル付近で生活するソコダラやメクラウナギの呼吸量を測定する試験が実施されたことがあり、餌を入れた測定箱を沈めて近づく魚をおびき寄せて閉じ込め、モニターで箱の中を観察しながら遠隔操作で呼吸量を測定するものでした。
この試験の結果、呼吸量は非常に僅かであることが分かりました。
ソコダラの場合、体重1キログラムあたりの酸素消費量は浅海で生活するタラの1/20にも及ばず、メクラウナギは淡水で生活するヤツメウナギの1/30にも達しないのです。
これを実証することとして、水深1,000メートルより深い海で生活している魚のエラの表面積は小さいのです。
水温が低くなるに連れて魚の代謝は鈍り、呼吸量が少なくなるでしょうが、一方で水圧が上昇するに連れて体内の生物反応が高まるのであれば、深くなると呼吸量が増えてもいいはずです。
深海はそんな水温が低く水圧が高い生物の摂理が相反する世界ですが、そんな環境で生き抜く深海魚の体はどんなメカニズムなのか気になるところです。
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