黒潮大蛇行とニッポン その3
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さて戦前には判明していた“黒潮大蛇行”ですが、この事象が発生することによって我々の生活に於いて大きな影響があるのです。

地球は自転の影響により、大気と海洋が渦巻くことがあります。
最も馴染み深い例では“低気圧”ですが、これは大気の渦によって出来上がります。
さて海洋の渦巻きといえば“鳴門の渦潮”が有名ですが、今回のテーマ“黒潮大蛇行”との関連性はどんなものかというと…。
黒潮が大蛇行している状態というのは、“黒潮の一部が分離して”関東から東海地方、そして関西にかけて沿岸から西に流れ込むように渦巻いていることです。
この大蛇行状態の渦は低気圧が中心部で低く、その周辺部が高いように中心部の海面が低く、周辺の海域の水面が高いのです。
そのため、中心部から離れた沿岸域では水面が数センチから数十センチ隆起してしまうので、浸水の可能性があります。

そして低気圧の中心部が“上昇”しているように、蛇行した黒潮の中心部では海の底から上部に向かって海水が移動しています。
海の底は上層部と比べて水温が低いため、この海水が“冷水塊”となって海面に向けて上昇します。
この冷水塊によって暖かい黒潮の流域が冷やされてしまうため、魚類の生息状況に大きな影響が発生します。
そのため、例年よりも魚が獲れなくなるということがあり、黒潮の大蛇行は漁業関係者の悩みのタネなのです。
また大蛇行の影響によって局地的に非常に寒くなることがあり、関東地方では黒潮大蛇行が発生した年には大雪が降るという統計があるのです。
関東地方で降る雪雲は本州の南岸を通過する“南岸低気圧”によるものですが、黒潮大蛇行時で冷水塊があるときは通常の南岸低気圧より更に南を通ることが判明しています。
黒潮大蛇行時の南岸低気圧が日本沿岸を通過するとき、暖気がいつもより北に向かって通過をしないため“大雪の回数が増える”のです。

1969年(昭和44年)から2007年(平成19年)の38年の間、黒潮大蛇行時の南岸低気圧の発生は58回ありましたが、そのうち東京で大雪が降ったのは12回、また黒潮が蛇行していない直進時では南岸低気圧が25回発生していますが東京では大雪が降ることがありませんでした。
そして興味深いことに、黒潮大蛇行時は日本海地方に記録的な大雪が降るのです。
黒潮の大蛇行により海洋に変化が現れ、更に大気にも大きな変化があると見られています。
画像出典元:http://aruku.sancyou.com/vvmiyako.html

 

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