昭和中期以降、水産業が低迷している状況について平塚漁協も同じ悩みを抱えていました。
戦後以降、日本人の食生活は西洋化、または人々の食の価値観の多様化により、魚介類消費量は減少の一途を辿り、現在もその状況は変わりません。
そして平成21年、遂に長年優位に保っていた魚介類消費量が肉類消費量に抜かれてしまい、この傾向は今後もさらに続くと見られています。
平塚漁協はこの点について、新しい魚の需要を創り上げる必要性があると考えていました。
そして次に“後継者問題”について、平成5年には全国で37万人いた漁業就業者が、平成21年には21万人と57%にまで減少してしまいました。
海洋資源が減少して水揚げ量が減り、魚価が下がる一方で、漁船や漁具、人件費など高いコストが常に掛かり、収入が増えないことに嫌気がさして船を降りる人が多いです。
また、60歳以上の高齢の漁業従事者が増える中で、若い世代の新規従事者がほとんど増えないという“漁師のなり手がいない”状況は全国的に広がっており、農林水産省を始め、全国の地方自治体、漁協などでは新規水産従事者の確保に乗り出していますが、なかなか結果が結びつかないことが実情です。
後継者問題で触れましたが、魚価は通常水揚げされてから魚市場に出荷して、主に競りで価格が決定します。
仲売人など専門業者が魚の値段を決定しますが、小売業者の需要状態や全国の魚供給量を元に判断するので魚価は非常に不安定で、値段は日々大きく変動します。
漁業者は水揚げした水産物の値段が予想することが非常に難しく、結果として漁業者の収入が安定しない原因のひとつとなっています。
昔から継承されている“競り”による魚の売買流通システムは、現代では限界があります。
最近になり、従来の競りによる取引から脱却して、漁業者が主体となって新たな販売経路を開拓する動きがあります。
これまで卸売市場を介して行っていた流通過程を省略して、主に地元の飲食店や消費者に直接販売することです。
一番の狙いは漁業者自身が“価格決定権”を握ることにより、魚の価格が安定化すること、また消費者に於いても中間流通に掛かっていたコストが少なくなるので、より安く魚が手に入る利点が生まれます。
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