沿岸漁業の振興策 その3

今回は前回の続き、魚介類を放流・移植する上で気をつけなければならないことをお話ししてゆきたいと思います。

魚介類の移植事業にあたって、元々生息している種の生息を脅かしてはならないことを、ブラックバスを例にして前回綴りました。
ブラックバス以外にも朝鮮半島から移植した“ライギョ”ことカムルチーや、台湾から来たタイワンドジョウ、アメリカから来たアメリカザリガニなどは元々生息していた種と競合して追いやってしまっています。
そんな過去の反省を踏まえて、現在では外来種については“外来生物法”によって、移植や増殖の禁止を含む規制、そして駆除が行われています。

そして沿岸漁業振興策で古くから行われていることのひとつに“放流事業”があります。
その地域に生息している魚種の個体数を維持・または増加させるためや、従来あまり生息していないものを増加させる事業です。
魚の増殖は昭和初期から研究されていましたが、昭和中期以降になると大量生産ができる手法が確立されました。
各都道府県の地方自治体や、自治体の第三セクターとして設立された“栽培公社”が主となって、卵を孵化させてある一定の大きさに成長するまで飼育をする人工的手法によって生産を行い、これらの種苗を県内の沿岸で放流します。
メジャーな魚種ではマダイ、ヒラメ、アワビなど、そして各都道府県の環境に合った魚類など様々な魚種の魚や貝、甲殻類が生産され、放流されています。

地方自治体や栽培期間では放流した魚にタグなど印を付けて、放流した地域でどれだけ効果があるのか常にモニターをしており、結果によって放流尾数の増減や放流個所の策定など行っています。
放流する魚種は主に沿岸に生息する魚であり、実際に放流効果があるところでは水揚げ量が増えており、漁業以外にも加工業など沿岸地域の活性化に繋がり、これら魚介類を活かした料理で外部からの観光客が増えるなど経済効果も実証されています。

しかし栽培漁業も万能という訳ではなく、栽培漁業に係るコストという問題があります。
生産機関で掛かる費用はもとより、種苗を放流する集落や漁協でも費用を持つため、放流効果が薄いところでは費用を払うことに対して懐疑的です。
また最近では大量生産したことによる魚類の“遺伝子の単一化”ということも指摘されています。
画像出典元:http://mitsu55.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-ba3c.html

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沿岸漁業の振興策 その2

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