正月とは暦の初めであり、旧年が無事終わり新年を迎えたことを祝う行事です。
玄関にお供えされた松や竹の門松には、生命、不老長寿、繁栄を祈願して木々に宿る神様、年神を迎え入れるという、おめでたい意味合いがあります。
日本では真鯛は縁起がいいものの一つで、祝いの席では欠かさせない存在です。
めでたい象徴として、七福神の恵比須様が赤い鯛を抱えていますね。
赤い魚体に白い腹が、縁起のいい紅白模様を連想します。
おめでたいという言葉を漢字では「目出鯛」と掛けていますが、何よりも真鯛は長寿の魚であり、不老長寿の証であるとされています。
日本人と真鯛の関係は非常に古く、約五千年前の縄文時代には真鯛を食べていたことが推測されています。
神話では真鯛が「赤女:アカメ」という名前で登場しており、平安時代には法典として編纂された延喜式の中に「平魚:タイラウオ」という名前で記載されています。
日本最古の歴史書「古事記」の中に釣り針が刺さった鯛が海神により外されるという下りがあり、赤女は鯛であるという結論が記載されています。
奈良時代の「日本書紀」、「万葉集」では、すでに「鯛」という言葉が載っています。
武士階級が台頭する鎌倉時代になると、真鯛は見栄えの良い姿の魚として武士を中心に好まれ、室町時代には上等な食材として大切に扱われていました。
そして江戸時代から現在に至るまで、真鯛は魚の王様という不動の存在なのです。
現在では、地域により真鯛を正月に食する様々な文化や風習があります。
大阪を中心とした西日本では、正月に真鯛を扱う風習が強く根付いています。
正月飾りに「懸鯛:かかげだい」という干した鯛を門松に掲げるものがあります。
また、鯛を食するにあたり塩焼きを三が日の間は箸を付けずに眺めるだけ、正月が過ぎたら家族皆で食べる「にらみ鯛」という文化があります。
最近ではこのにらみ鯛をお茶漬けにして食べるという文化もあるようです。
一方、真鯛を正月に食べる風習は関東では余り馴染みがないですね。
画像出典元:http://hansoku365-test.hatenadiary.jp/entry/2016/04/07/183937
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