夏になると美味しいのがハモですね。
骨切りしたハモを湯通しして、冷たい水で掬った「ちり」や甘い照り焼き…、ハモ料理はどれも日本酒が進んでしまいます。
ああ、今年の夏も大阪に出掛けて馴染みの居酒屋で味わいたいものです。
ハモは紀伊水道、瀬戸内海、九州付近に大変多い魚で、底網や曳網、または延縄で漁獲されています。
大阪・京都など近畿では夏に欠かせない魚で、とくに7月は京都・祇園祭、大阪天満の天神祭では祭に祀られる大役があり、「祭鱧」と呼ばれます。
この時期になると京阪神の魚市場では沢山並べられている光景を見ることができ、大阪では「祭りがある7月のハモは買わずに待って、8月になってから買え」と言われています。
祇園祭のときが最も高騰する時期で、2009年にはキロ4,000円以上の値がつきました。
ただ、この時期のハモは身に旨味が乗って大変美味しいというのも事実で、「梅雨の水を飲んで美味しくなる」と言われています。
ハモは剣のようにすらりとしたスマートな姿で、顔はワニのように大きく鋭い歯をもっている獰猛な魚です。
釣り人がハモを釣って喜んでいるのもつかの間、うっかりしてあの歯にやられて大怪我をしてしまうこともあります。
そのためハモを知る漁師たちは獲れたらすぐに活け締めを行います。
ハモはただでさえ性格が荒っぽいのに、産卵期の夏になるとさらに気質が獰猛になります。
ハモ漁の船が漁場について延縄を上げたところ、延縄に喰いついたハモの尾っぽに別のハモが喰いついている光景があり、ときには3尾のハモが鎖のように絡みついていることもあるそうです。
しかし不思議なことにハモは産卵期になるとオスの精巣、メスの卵巣が膨らんで大きくなるので、胃や腸は圧迫されてしまい全くと言っていいほど餌が食べられなくなります。
それにも関わらず延縄に喰らいつくのはどうしてかということですが、餌を食べようとすることではなく、ただ単に産卵期の性格が非常に荒いということからなのでしょう。
産卵期が終わった晩秋、ハモは再び餌を食べて身に脂が乗りだします。
この時期は実は第2のハモの旬で、深い旨みが楽しめることから「松茸ハモ」、「金ハモ」、「名残ハモ」と呼ばれています。