サンマは漢字で書くと「秋刀魚」であるのが一般的ですね。
実はこの当て字、中国語でも通用します。
刀の様な細く銀色に光る秋の魚という謂れですが、他にも様々な由来があり、類語もあるのです。
そもそも「サンマ」という名前の由来は、細長い体型を「狭真魚:サマナ」が転訛したことによります。
「狭」は幅が狭いという意味、「真」は接頭語、「魚:ナ」は食用魚の意味があり、サマナ→サマ→サンマと時代と共に読み方が移り変わったのです。
ほかにも大きな群れを成して泳ぐ魚、「サワ:大きな群れ」「マ:魚」からなる「サワンマ」が転じてサンマになったという説もあります。
学名では属種を「Cololabis」、ギリシャ語の短いという「Kolos」とラテン語の唇の意味を指す「Labia」が合わさったものです。
そして属種の下に付く種名は「Saira」、古い紀伊半島の方言である「佐伊羅魚:サイラ」が由来となっており、現在でも西日本を中心にサンマをサイラと呼んでいます。
ほかにも秋串魚、秋光魚、青串魚、西刀魚など30以上の類語があります。
面白いのは「九尺五分」と書いてサンマと読むのです。
この九尺五分はおよそ30センチと平均的なサンマの大きさで、主に魚市場で使われていた当て字のようです。
そして麻雀好きの方なら、サンマといえば3人で打つ「三麻」を想像しますよね、きっと。
サンマで打つ時の「九種九牌」は流すか流さないほうがいいか、いつも議論で割れるところです。
さて気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、当て字ではなく鮪、鰹、鯖、鰤、鰯などのように、さんまそのものを表す漢字が無いのです。
ありがちな話として、秋が旬ということで魚偏に秋で「鰍」サンマと読めるという話がありますが、この「鰍」の字はカサゴ種の「カジカ」なんですよね。
サンマとは似ても似つかない魚なのです。
そして魚編に祭と書いて「鰶」、訓読みでこのし、音読みでセイと読めますが、これでサンマと読めるのだそうです。
「サンマ騒がせ」という言葉がありますが、これはサンマ漁の船はサンマの大群が網に掛かると祭の様に賑やかだったという意味です。
しかし、この漢字はニシンの仲間の「コノシロ」なのです。
余談ですがコノシロは魚編に冬と書いた「鮗」の字も適用されます。
漢字のとおり冬に脂が乗って旬を迎えます。
コノシロは光り物の代表魚ですね。
コハダの握りはとても好きですよ!
何だか今日の記事は、金田一京助氏の日本語言語学の世界になってしまいましたなぁ…。
まあ、サンマは古くから人々に馴染みがある魚ということで色んな読みや書きがあるということで、良しとしましょう!?
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