幻の魚!?イトウ


サケ科に属する淡水魚イトウは、すらっとした細長い体型が特徴的な魚で、北海道の11水系で生存が確認されています。
他のサケ類と大きく異なる点は、一生のうち何度も産卵を行うことです。
イトウはしばしば「幻の魚」という表現をされます。
幻という定冠詞が付いたのは、1968年に発表された開高健氏の著書「私の釣り魚大全」で、「釧根原野にて【幻の魚】を二匹釣ること」という章が由来します。
イトウは個体数が年々減少しており、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧ⅠB(EN)類」に指定されています。
かつてイトウは、北海道全域で42水系、青森県2水系、岩手県1水系で生息が記録されていました。
しかし現在では、青森県や岩手県での生息報告がなく、北海道に於いても安定的に生息していることが確認できる河川は僅か6水系で、イトウの存続が危ぶまれている5水系を合わせても11水系にすぎません。
イトウの生息数が極端に減った理由として、河川が直線化されたことが挙げられます。
生息が好まれる川は勾配の緩い湿原や平野をなだらかに、また、ときには大きく蛇行しながら流れる川です。
蛇行した川は側面が浸食されており、瀬や淵などの起伏があります。
淵から下流にかけて、水深の浅くなる瀬にさしかかる部分が水量も多く、イトウの産卵床として好まれている場所です。
河川改修が行われ川が直線化することで、瀬や淵がなくなります。
するとイトウは産卵場所を失ってしまい、稚魚の姿が消えてしまうのです。
そして、河川に段差や障害物が現れたこともイトウが減少する理由の一つです。
イトウは夏は河川の上・中流域、冬場は下流域で生活します。
一生に何度も産卵をするイトウは河川の上流から下流まで何度も行き来しますが、河川工事にあたり段差が生じた場合や、水路や林道工事で設置されたボックスカルバートなど比較的小さな構造物が障害となるのです。
やがてイトウは河川を行き来ができなくなり、産卵活動が途絶えてしまうのです。
釣り人の間では魚の大きさと希少性から人気の魚種で、主にルアーやフライで狙います。
釣り期は5~6月、10~12月に設定されていますが、希少性が高いのでキャッチ・アンド・リリースが励行されています。
最近では青森県でイトウの養殖が行われており、鯵ヶ沢で養殖されたイトウは身に程よく脂が乗って、旨味も深く刺身にして最高です。
そしてご当地料理として「イトウ丼」を提供しているお店もあります。
なかなか食べる機会がないイトウですが、青森の鯵ヶ沢にお出掛けされたときは是非味わってみては如何でしょうか。
画像出典元:http://www.tsugarunavi.jp/web/spot_detail.html?id=00002913

新鮮な鮮魚が手軽に買える、サカマアプリ

blank

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事