子供の頃はテレビっ子でしたが、よく見ていたのは「刑事ドラマ」でした。
特に好きだったのが舘ひろし、柴田恭兵がクールに横浜市内を走り回って犯人を追い詰める「あぶない刑事」でした。
柴田恭兵さんに感化されて髪はジェルでリーゼントに固め、親に頼んでペラッペラの白いサマージャケットを買ってもらった高校一年生の夏。
ああ、今思うととても恥ずかしい…。
来年の正月「あぶない刑事」シリーズファイナルの映画が上映されますね。
是非とも身に行きたいと思っています。
さて、冒頭に刑事ドラマの話をしたのかといいますと、よく被害者が殺されて鑑識や刑事が推定死亡時刻を話し合っているシーンがありますね。
ヒトに限らず、脊椎動物は生命活動が停止すると体の硬直が始まり、警察では硬直の進行状況によって死亡した推定時刻を割り出すのです。
一方魚の場合は、鮮度が良く高品質のおいしい魚を消費者の元に届けることが大変重要です。
死後硬直は生体変化なので止めることができないですが、魚の保管温度や締める方法によっては進行を少しでも遅らすことができ、新鮮な魚を提供して魚価が向上することに繋がります。
死後硬直と鮮度の相関で、苦悶死させると急速に進行することは判明しています。
そして、中枢神経を破壊して締めた場合は死後硬直の進行が緩やかに進むことも解明されており、活締めは簡易な延髄切断によって行われることがあります。
しかし、稀にその方法の反射運動が起こり、そのときの魚の動きはホラー映画さながらです。
具体的には死後30分を経過したころから、筋肉の痙攣が始まり保管施設の中で死んだはずの魚がバタバタ激しく暴れ出すというものです。
これは神経の電気的な刺激で起こるのですが、延髄を切断しただけでは運動を支配する筋肉の神経経路がそのまま繋がっているため、反射運動が起きてしまうのです。
痙攣により硬直が著しく進行してしまう短所もあります。
そのため締めるときは中枢神経を完全に破壊することで、魚の鮮度を保てるのです。
そして、保管温度にも鮮度の良し悪しに関する傾向があります。
魚種により適正な保管温度帯があり、ヒラメやマダイは10℃、ブリやカンパチは5℃です。
その他魚の疲労やストレスとの関連があり、運送直後に締めるよりは安静期間を設けたほうが、鮮度がいいなど魚の生理条件によって異なってくるのです。
肉質の固さについてですが、実は死後硬直とは全く違う次元のお話なのです。
締めたての魚は肉質が固く、コリコリした食感が楽しめます。
時間の経過とともに肉は軟化してゆきますが、これは肉の結合組織のコラーゲンが分解されているためです。
最後にご飯を「いただく」というのは、様々な命を頂戴するということです。
感謝の気持ちを忘れずに、美味しく召し上がることはとても大切なことですね。