魚の初期種苗生産で大切なこと…仔魚の離乳食 その4


さて前回、前々回と渡り、種苗生産の仔魚の離乳食「シオミズツボワムシ」について綴りました。
シオミズツボワムシをもりもり食べて日に日に仔魚が大きくなってゆき、体の器官が発達してゆくのが顕微鏡で観察できます。
1㎜成長するたびにワムシの摂餌量は加速度的に増えてゆきます。
ヒラメの場合、ふ化直後は5㎜未満だった仔魚が2週間を過ぎた頃には8㎜に成長しています。

「8㎜」は一つの目安であり、この体長に達するとワムシ以外にもう一種類餌を増やします。
アルテミアというホウネンエビモドキ、1㎜未満の小型甲殻類です。※1
※1

じつはこれ、昔ブームになった「シーモンキー」や「お化けエビ」なのです。
小さな粉末状の卵を培養液に投入すると、24時間後にふ化するのです。
イースト菌など与えると、フサフサしたよくわからない微生物がメキメキ成長してゆく、アレです。
このシーモンキーが魚類の種苗生産にとって大変大切な役割を持ちます。

アルテミアは種苗生産にとってハンドリングが簡単なこともあり、様々な魚種の仔魚に給餌されています。
アルテミア卵は乾燥卵なので、冷暗所であれば長期間の乾燥保存が可能です。
大抵は1ポンド缶(約450g)に入った乾燥卵が入荷されます。
アメリカ・ユタ州の塩水湖産やサンフランシスコ湾産のものが、様々な種苗生産機関が好んで使用されています。
他に中国産やロシア産などがありますが、乾燥卵のふ化率が95%の高品質なものはアメリカ産のみなのです。
アルテミアのデメリットとして、年度によってアルテミアの豊作・不作が激しいので単価の振れ幅が大きいことがあります。
更に為替のレートによっては非常に高くなることもあるのです。

遮光幕を貼って暗くした水槽に28度の海水をエアで撹拌させた状態にして、アルテミアの乾燥卵を投入します。
24時間経過するとアルテミア幼生がふ化します。※2
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ふ化したばかりの幼生はワムシと同じく、栄養分が殆どないので栄養添加剤で栄養強化する必要があります。
ふ化した幼生を回収するにあたり、水槽の下部分にある蛇口の筒は透明なアクリル板製になっています。
撹拌しているエアを止めて海水を鎮静した状態にして、アクリル板の筒に光を当てます。
アルテミアは走光性の性質がありますので幼生は水槽の下に集まり、卵の殻は水面に浮き分離した状態になります。※3
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ふ化水槽より回収したアルテミアは、栄養強化用の水槽に収容されます。
不飽和脂肪酸のEPAやDHAが含まれた栄養強化剤を半日から一日添加して、ようやく仔魚の餌になるのです。

仔魚に対する給餌はワムシと併用して行われます。※4
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※1〜4画像出典元:https://www.pref.chiba.lg.jp/lab-suisan/suisan/soshiki/katsuura/artemia.html
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魚の初期種苗生産で大切なこと…仔魚の離乳食 その3

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