福島県郡山市とハンガリーの交流~鯉はお好き?~


奈良県郡山市は金魚の産地として大変有名ですね。福島県にも郡山市があります。こちらは全国でも有数の養殖鯉の産地です。

金魚はもっぱら観賞用としての価値が高く、食材としての対象にはならないようですが、鯉は立派に食材として利用されています。錦鯉などは観賞用として取引されています。

福島県郡山市では、養殖業者と連携して、鯉を郷土料理として本格的に取り扱うようです。生産から加工、流通・販売まで手がけ、6次産業化を図ろうとしています。

ヨーロッパの中部、ドナウ川中流域に位置するハンガリー共和国は、郷土料理として鯉を使った料理が有名です。

ハンガリーの鯉料理のノウハウを福島県郡山市の鯉に取り入れるため交流をはじめました。
郡山市は民間の寄付金や復興支援金を投じて、鯉の養殖関連として一般会計補正予算案に計上し、9月の定例議会で可決されました。

鯉料理といえば鯉の甘露煮、鯉こく、あらいが有名です。しかし近年鯉を食べる機会が減少しているため、鯉料理を研究し、消費拡大を図ろうとしています。

郡山市は県南鯉養殖漁業協同組合と連携し、料理法の研究を進め、美味しい食べ方や健康推進に役立つ栄養成分の豊富さなどを広く訴えようとしています。このため市内の養殖業者や和食店などは、新しく昆布巻きや甘酢かけ、鱗を揚げた煎餅などの創作に励んでいます。

ここで郡山市が期待するのはハンガリーとの交流です。海のないハンガリーはコイやナマズなど淡水魚を使った料理があります。

ハンガリーで有名な鯉料理として、「ハラースレー」(漁師のスープ)があり、大量のパプリカと一緒に鯉を煮たスープが有名です。クリスマスに男が料理するといわれます。

これを日本風にアレンジすれば、日本人にも受け入れられるのではないかと考えています。
ハンガリーの大使や料理人を招いて、料理講習会を開き意見交換したいと考えています。

鮨は日本の文化です。和食も海外で高い評価を得ています。このブームに乗って日本の鯉料理を海外にアピールできる絶好の機会と考えています。

水産庁によると養殖鯉の昨年の収穫量は茨城県が最多で1096トン、次いで福島県が914トンとなっています。福島県によれば2004年~2009年までは6年連続収穫量トップでした。

ところが2011年3月11日の東日本大震災によって、東京電力福島第一原発事故で、放射能による汚染という風評被害にあい、収穫は激減してしまいました。

事故後、県内の天然鯉から国の基準値を上回るセシウムが検出されました。養殖鯉は基準値を下回っていましたが、消費者は風評を信じたのか敬遠されてしまったのです。

養殖業者のほとんどが郡山市にあり、震災前までは1キロ当たり400~500円の高値だったのが、現在の卸売りで330~430円まで下がってしまいました。

養殖にかかるエサ代は莫大なもので、通常は2~3年の鯉を出荷しているが、売れ残るため、4年目の鯉もたくさんいます。大きくなると餌をたくさん食べるため余計に経費はひっ迫してしまいます。

しかし売らなければ郡山の鯉は忘れられてしまいます。郡山の鯉の素晴らしさを知ってもらい、美味しいという評価を得たいと願っているのです。

まず、地元の人に美味しさを知っていただき、たくさん食べてもらい、安全でうまい鯉であるという評判を広げたいと願っています。

(出典元 朝日新聞2015年10月8日)

画像出典元:http://blogs.yahoo.co.jp/bousun/

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