サケとマスは明確な区分はないとされています。その違いを調べるにも、信ぴょう性のある学術資料がありません。
しかし鮭と鱒と呼ばれる魚は現にあるわけで、その種類だけでも調べてみたいと思います。
・白鮭・・・一般的なシャケと呼ばれ、日本で最も多く獲れる鮭です。秋に出回るため秋鮭、秋味とも呼ばれています。
サケ科サケ亜科サケ属 体長は約65㎝
9月ごろから川を遡上し、産卵します。孵化した稚魚は体長が6㎝ほどになると海に降り、海で4~5年過ごし成長すると母川に戻ってきます。
日本の河川から海洋に出た鮭は日本系サケといい、オホーツクからカムチャッカ、ベーリング海からアラスカ湾まで回遊したのち、日本の川に帰ってきます。
産卵が終わったシロザケはそこで一生を終えるのです。
白鮭は缶詰、塩鮭、新巻などに加工され、卵はスジコとして親しまれています。
白鮭でも漁獲時期によって名前が変わります
・時不知(トキシラズ)
春から夏にかけて北海道の太平洋沿岸や、オホーツク海沿岸で獲れる鮭で、ロシア北部の川が母川とされています。
回遊中の若い鮭で、秋鮭と区別されます。鮭の旬である秋以外(春から夏)に獲れるため、「時知らず」最近では単に「時鮭」と呼ばれています。
卵巣・精巣が成熟しておらず、身に脂があるためとても美味です。頭は小さく魚体は丸々しています。
・めじか(めぢか)
オホーツク海を回遊し、エサはイカや魚、浮遊動物を好んで補食。一冬を海で過ごし、7月~11月ごろ戻ってきます。秋に獲れる他の秋鮭の銀毛よりも成長度は低く、「めじか」と呼ばれています。
外見的な特徴は、鼻曲りという産卵期独特の兆候はなく、目が近くによって見えることからこの呼び名になったそうです。成熟までにまだ間があるため、身には脂が残っていておいしいといわれます。1000匹に1匹程度の確率で捕獲される希少な鮭です。
・銀毛(ギンゲ)
秋に北海道に回帰する鮭で、成熟度の低い銀白色の鮭を「銀毛」と呼んでいます。ギンゲは100匹に1匹程度しか捕獲されない希少な鮭です。
秋サケの中では大変グレードの高い鮭です。産卵のため川に遡上する前に水揚げされ、産卵準備前のサケということで、多くの栄養を摂っていて脂ののりもよくなっています。
・鮭児(ケイジ)
まだ産卵状態になっていない若い鮭が、回遊する秋鮭に交じって定置網で捕獲されたもので、母川は時不知と同じく、ロシア北部の川といわれ、カムチャッカや日本近海を回遊します。
まだ未成熟な2㎏程度の鮭ですが、卵も白子も持たないサケで、脂ののりは白鮭の中で最高です。幻の鮭といわれ、10000匹に1匹の確率で漁獲され、一般の白鮭の10倍の値段で取引されます。
<次に白鮭とは違った種類の鮭についてお話しします>
・ますのすけ(キングサーモン)
サケ科の中では最大の大きさです。体長150㎝、60㎏という記録もあります。
産卵は河川にて7~10月にかけて行われます。カムチャッカからアラスカ、カナダからベーリング海、カムチャッカ沖から北太平洋にかけて回遊します。
多くは春から夏にかけて川を遡上し産卵します。稚魚は孵化するとすぐに降海するものもあるが、多くは1~2年間を淡水で、成長してから降海します。海洋で4~5年、長いものは7~8年過ごし、甲殻類やイカ、いわし、ニシン、シシャモなどを捕食。脂肪が多いため、ステーキに適しています。他缶詰や塩焼き、刺身、スモークサーモン、フレークなどで食します。
・さくらます(マス・ヤマメ)
サケ科サケ亜科サケ属
降海型をサクラマス・・・2年半で成熟して母川回帰します。(体長40~60㎝)
陸封型をヤマメ…川に残留して約2年で成熟します。
・紅鮭(ヒメマス)
サケ科サケ亜科サケ属
降海型・・・日本の河川にはほとんど遡上しません。淡水で1~2年すごし、降海して4~5年北太平洋を回遊し成熟して母川回帰。体長40~65㎝まで成長します。
缶詰、刺身、塩焼き、塩鮭、フライ、スモークサーモン、フレークなどに用います。
陸封型の鮭は、ヒメマスと呼ばれています。
・ギンザケ
サケ科サケ亜科サケ属
天然のギンザケは沿海州から千島列島、カリフォルニアにかけて生息し、北海道の河川には遡上しません。
孵化した稚魚は1年間淡水で過ごし、3~4年海洋で成熟し、体長も50~65㎝に成長して母川回帰します。
現在流通しているギンザケは養殖によって安定した供給がなされています。
・カラフトマス
サケ科サケ亜科サケ属
サケ属の中では小型の種類で、体長は40~60㎝。
カラフトマスは2年ほどで成熟し、日本では主にオホーツク海と根室海峡付近の河川に遡上します。食用としては実が柔らかく、缶詰に加工されることが多い。
・ニジマス
サケ科サケ亜科サケ属
陸封型・・・ニジマス。河川に残留し、3~4年の寿命です。
降海型・・・スティールヘッド。6~8年後に産卵・放精後も生き残り、翌年も産卵・放精することがあるようです。
・アトランティックサーモン
サケ科サケ亜科サルモ属
頭は小さく体型はスマート。キングサーモンと同じくらい大型で、大西洋に生息し、降海後母川回帰します。現在市場に出回っているものは殆ど養殖です。
脂がのっており、フライやムニエル、塩焼き、刺身、切り身、スモークサーモンに用いています。
<サケやマスの卵について>
スジコとイクラはどう違うのでしょう。
筋子はサケ科の卵巣に入ったままの卵。
イクラはスジコの少し成熟したもので、卵巣膜を取り除いてバラバラにしたものをいう。
筋子もイクラも塩加工されているものが多く、特に東北では未加工の筋子を「腹子」と呼ぶようです。
<鮭も鱒も卵には別の呼び方があります>
魚の種類によって呼び名が変わります。
・シロサケの筋子・・鮭子(サケコ)、チャム子、ハラ子
・紅鮭の筋子・・紅子(ベニコ)
・銀鮭の筋子・・銀子(ギンコ)
・カラフトマスの筋子・・鱒子(マスコ)(サクラマス、ニジマス、ブラウントラウト、イワナなどの筋子を総称することもある)
・マスノスケの筋子・・キング子
この様に鮭も鱒も卵は食品として流通しています。スジコは魚卵の中では高価なものであり、シロサケの魚卵は最も商品価値が高いのです。外食産業に向けられる魚卵は、やや安価な銀鮭やカラフトマスの物が流通しています。
鮭画像出典元:http://blog.goo.ne.jp/yoshikawasuisan02/
トップ画像出典元:http://blog.livedoor.jp/kaz823ad/