アワビ・トコブシの栽培漁業…さあ、採卵です!  (その4)


9月になるといよいよトコブシの採卵を開始します。
トコブシの初期飼育で最も適した水温は25℃以上30℃未満であり、この水温帯は9月だからです。

卵巣・精巣がしっかり膨らんだ親貝を採卵で使用します。※1
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オス、メスと別々の水槽に入れて遮光をして、紫外線で照射された海水をかけ流します。
紫外線照射海水がアワビ・トコブシの採卵で刺激になると言われていますが、その正確な理由についてはまだ明らかになっていません。
どうやら、たまたま紫外線海水を注入したら放卵したということらしいですが…。
また、水温をヒーターで入り切りして(25~30℃の範囲内)水温による刺激を併せて行います。

傾向としてオスの放精がメスの放卵よりも先に見られます。
メスの放卵が確認されたら、放卵した卵を30リットルの水槽に回収・収容します。
卵をかけ流した海水で洗浄しながら、卵の数を計数します。
計数方法は30リットルの水槽を軽くかき回して均等に卵が水槽内にある状態で、スポイトで10㏄抜き取り、抜き取った中でどれだけ卵が存在するか数えます。
10㏄中の卵の個数がわかれば、30リットル中卵は幾つあるのか求めることができます。

そして、オスの水槽の精子の濃さを濁度計で計測します。
濁度計で出た数字を元に、卵に受精する精子量を求めます。
投入量が決まると精子の入った海水を、卵を収容した水槽に注入します。
これで受精が完了です。
受精後しばらくしたのちに、顕微鏡で受精卵の確認をします。※2
No09_2

卵割が進んでいる卵を計数して受精率を求めます。

受精後、概ね8時間後には幼生がふ化をします。※3
No09_3

ふ化したての幼生は「トロコフォア幼生」といい、プランクトンのような形状になります。
その後2日程で「ベリジャー幼生」になり、最も巻貝らしい形をしています。※4

ベリジャー幼生は小さなタワシのような形の足を持ち、足を高速で回転しながら水槽内を泳ぎます。

ちなみに自然界では台風など海が荒れている日に貝が放精、放卵します。
受精してふ化した幼生は海中を漂いながら、餌がある藻場にたどり着きます。

ふ化したベリジャー幼生を計数後、初期飼育が始まります。
珪藻付けした波板カセットが設置されている屋外の水槽に幼生を移します。
移された幼生は漂いながら餌がある波板に付着します。
波板に付着している珪藻を摂餌し始めると、幼生の形状が変わってきて段々扁平になり、アワビ種独特の形になってきます。※5

※2画像出典元:http://blog.goo.ne.jp/kanagawa-sfa/e/
※3画像出典元:http://www.agri-kanagawa.jp/suisoken/mailmag/
※4画像出典元:http://is2.sss.fukushima-u.ac.jp/fks-db/pic/
※5画像出典元:http://blog.goo.ne.jp/kanagawa-sfa/c/
トップ画像出典元:http://kaisenkura.com/archives/

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