寝かせておいしい水産缶詰~缶詰にも食べごろがある~


鮮魚は保存期間が長引くと鮮度や旨味が減少します。しかし缶詰にして寝かせることによってより熟成しておいしく食べられるようになるのです。

発酵と熟成によってうまみ成分を増やす技術は進歩しており、出来立てよりうまみを増す水産加工品もあるのです。

缶詰は一般に製造後3年間が賞味期限と言われます。あくまでもメーカーがおいしく食べられる期間を保証する期間を言うのですが、時間の経過で缶詰の味は変化するようです。

水産加工の缶詰に限ってみれば、缶詰の食べごろは製造から半年たってからがおいしく食べられる時期のようです。

缶詰の中で調味料が魚肉に移り、魚肉エキスが調味料へと対流して、缶全体の味がなじむまでには半年はかかると言っています。(日本缶詰瓶詰レトルト食品協会・黒川博士談)

時間の経過によって味はまろやかになります。これは醤油煮缶や味噌煮缶、水煮缶や油漬け缶でも同様にまろやかな味になります。

製造したての缶詰は、身が柔らかく、時間の経過とともに調味料に含まれた塩分の浸透圧で、半年ほどたつと水分が抜け、身が締まって歯ごたえもよくなります。

缶詰は理論上は開封しない限り10年以上たっても食べることはできます。ただ、賞味期限後は貯蔵中の温度などによって、ほんの少し味や香り、色などの品質に変化が生じるものもあります。

前出の黒川博士は「おいしさ」を考えた時、製造から半年経過後から3年(賞味期限内)が缶詰の美味しい食べ時であると強調しています。

注意すべき点は缶が膨らんだり穴が開いたり隙間がないか調べる必要はあります。何らかの原因で細菌や微生物が働けば、ガスが発生して缶が膨らむこともあるようです。

穴や隙間があればそこから微生物の混入もあり、衛生状態は保証されません。こうしたことさえ留意すれば缶詰は長期保存に耐えうるものです。安全と美味しさは別問題です。

缶詰の加工技術が向上し、生では味わえない熟成した魚のうまみを引き出すことができるようになりました。

鮮度至上主義の消費の喚起は、缶ビールやマヨネーズなど日持ちのする加工品にも、近年特に増えています。

製造したてがおいしいとは決して言えないものもあります。それは缶詰の中で発酵・熟成のように、うまみ成分の増加によって、出来立てより時間を置くことで旨味が増す水産加工品もあるのです。

この記事は日刊水産経済新聞の2015年7月27日の記事を参考にしています。

画像出典元:http://mrsjasmine.exblog.jp/

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