
北海道は日本海、太平洋、オホーツク海の3つの海に囲まれています。暖流と寒流が交わる好漁場に恵まれ、多種多様な魚介類が豊富に獲れます。
秋鮭、ホタテ、昆布が有名ですが、今回は北海道ならではの魚を紹介いたします。
◆マツカワカレイ(タンタカ)
世界で100種ほどが知られているカレイの仲間の中で、王様と言われるマツカワカレイ。旬の冬場のマツカワは、美味な味わいと評価されています。身は透明感のある白身で、淡白で上品な味。刺身はしっかりと硬く、歯ごたえがあり、臭みもありません。特に旬の冬場は身が締まり、雌が腹に抱える卵も美味です。えりも町から函館市までの太平洋沿岸で獲れた35センチを超えるものは「王鰈(おうちょう)」のブランドで取引されます。
◆トクビレ(ハッカク)
北海道の太平洋沿岸およびオホーツク海沿岸で水揚げされます。ハッカクをメインとした漁はなく、あくまで他の魚の漁に紛れたものを獲っているため漁獲量が少ないため高値がつきます。トゲトゲとした厳つい見た目とは裏腹に、白身で肉質は歯ごたえがあり脂ものっていて、とても上品な美味しさで人気の魚です。刺身はもちろん美味しいですが、味噌をつけて焼く軍艦焼きも有名です。
◆ホテイウオ(ゴッコ)
北海道の冬の味覚ゴッコ汁に欠かせないホテイウオ。特徴はぬるりとした見た目。岩場に吸い付くための吸盤を腹部に持っており、吸盤の大きいのがオス、小さいのがメスに大別されます。見た目は少しユニークですが、コラーゲンたっぷりなプルプルの身からでるダシは格別です。メスの卵は甘みがあり、プチプチとした食感が楽しめます。産卵期のメスは、その体の中の半分以上が卵巣になっていて、捌くとたっぷりと卵が出てきます。白身は味わい深く、ぷるぷるの皮やプチプチとした卵の食感を楽しめ、軟骨もまるごと食べられるゴッコ汁は美味しい北海道の冬の味覚です。
◆生ホッケ
春から夏と、産卵前に脂ののる秋が美味しい時期とされています。特に、寒い海で育ったホッケは身が引き締まり、脂ののりも良くなります。ホッケの美味しさの最大の特徴は、豊富な脂です。焼いたときに表面が香ばしく、中はふっくらジューシーに仕上がるのは、この脂がたっぷり含まれているから。特に、寒い海域で育つホッケは、低水温に適応するために身に脂を蓄える性質があり、その脂の甘みが美味しさを引き立てます。鮮度が落ちやすいため、北海道以外では干物で流通していますが、脂ののった生ホッケの塩焼き・フライ・ムニエル・唐揚げは干物とはまた違う美味しさがあります。
◆シシャモ
シシャモは、日本にだけ分布する日本固有の魚です。 しかも、北海道の太平洋岸にのみ生息し、10月中旬~11月下旬にかけて、特定の河川(十勝地方の十勝川、釧路地方の庶路川・新釧路川、日高地方の沙流川、胆振地方の鵡川など)に産卵のため遡上します。
スーパーなどで販売されている子持ちシシャモは「カラフトシシャモ」(英名Capelin:キャペリン)で、シシャモの代用品として輸入されている魚で、全く別の魚です。
漁期は10月~11月中旬のみ。水揚げ量も年間1300トンほどのため高級魚ですが、本物のシシャモを是非食べてみてください。
◆カスベ(メガネカスベ)
北海道では冬になるとカスベの煮付けや鍋でよく食べられます。軟骨部分のコリコリとした食感と身のふっくらとした食感が同時に楽しめます。かすべの種類によって旬はやや異なり、北海道でよく食べられるメガネカスベは12月〜1月が旬です。メガネカスベは春に産卵するため、冬になると栄養をたくさん摂取して身が肥えていきます。コラーゲンをたっぷり含んでいるので美容食としてもぴったり。から揚げも美味しいです。エイなどの軟骨魚類は、体内に多量の尿素をため込んでおり、鮮度が落ちると微生物によって尿素がアンモニアに分解されます。鮮度の落ちたカスベはアンモニア臭が発生するため、鮮度が良いものを選ぶと良いでしょう。