前回はナマズが持っている電気受容器が餌探しに役立つことをお話ししました。
ナマズの仲間は住んでいる場所にできる非生物性の電場を覚えて、定位に利用するといわれています。
円形のプラスティック水槽の中央に円筒状の餌場を、また周辺部の一カ所には隠れ場を作ります。
餌場の周囲には4か所の出入り口を等間隔に開けておき、水槽の4か所には電極を設置して餌場を横切る軸の両側に極めて微弱な人口電場を作ります。
そしてナマズの夜行性を利用して、灯りが落とされたときには餌場に入って餌を食べ、明るくなったときには隠れ場に逃げ込むように訓練をしました。
そして餌摂りに慣れると、ナマズはほとんど決まった入り口を通って餌場に入りますが、出るときの通路はバラバラなのです。
灯りを暗くしてナマズが餌場に入って餌を食べている間に人工電場の極性を逆転させて、同時に明るくします。
その瞬間、ナマズは方向感覚を失ったように逃げまどい、餌場の外に出ても隠れ場とは正反対の方面に隠れ場を探して、ずっと右往左往しています。
隠れ場の目印は幾らでもあるのにも関わらず、それらを見ずにナマズが混乱して慌てふためくのは水槽の中の電場の特徴が一転してしまうため、定位ができなくなってしまうのです。
ナマズが生活している池や川を調べると、測定している場所によって違いはありますが、彼らは住んでいる場所特有の電場を記憶しているのです。
彼らは池や川の中で、電気受容器を活用して常に方向探知を行っています。
そして、ナマズは電気刺激にかなり敏感していることは皆さんお分かりいただけたと思いますが、常に電場変化に対して敏感というわけではなく、電場変化に敏感となる電気の周波数には幅があるのです。
最も過敏になる電位周波数帯は1から30ヘルツ、そして100ヘルツ以上になったときは急激に反応が低下します。
ナマズは自分が生活している電場が何らかの要因によって乱れたとき、暴れるように取り乱している様相は自分の生活環境の電気的変化を鋭く察知できる感覚を持ち合わせているからであり、昔から言われている地震の前の行動についてのはなしもあながち作り話ではないかもしれません。
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