魚と電気 その4

前回のおはなしをしたトラザメとガンギエイの餌を探求する動きの実験の続きです。
今度は寒天の中に生きたツノガレイの代わりにタラの肉片をナイロンで包み、寒天詰めにして砂に隠します。
すると今度は両者ともその真上を通ってもタラの肉片には気づきませんが、排水パイプの端になる場所の砂を突いています。
肉片のにおいが付いた水が排水溝から流れるので、嗅覚でこのタラの肉片を探していたのでしょう。

今度はツノガレイを入れた寒天の小箱の外箱に、電流遮断効果のあるプラスティックで包んで砂の中に埋めました。
そのときはトラザメとガンギエイも餌を探し出すことが出来ません。
さらに電極を砂に埋め込み、ツノガレイの筋肉運動によって生じる生物電気に見合うような極めて弱い電流を流します。
すると両者とも電極の上を通ると、その下にツノガレイが隠れているときと同じように砂を掘り返しました。
電流を流す電極から5センチ離れた砂の上にタラの肉片を置くと、一度はタラの肉片に近づきますが、手を出さずにしきりに電極の位置を探します。
彼らは砂の下に生きた餌があると思い込み、目に見える肉片を差し置いて電気受容器を頼りに餌探しを続けています。
電気受容器がサメやエイの餌探しに大いに役立っていることが分かります。

ナマズの仲間の体表にも多数の電気受容器が備わっており、彼らは餌探しと方向探知に活用しています。
ナマズを二つの実験群に分け、片方はオタマジャクシを与え、もう片方には肉片を与えて飼育します。
餌に慣れたところで、プラスティックで作ったオタマジャクシの模型を水槽に入れました。
模型に気付いたナマズは全く興味を示しませんが、生きたオタマジャクシの呼吸運動によって生ずる活動電位のデータを模型から発するようにしたところ、オタマジャクシの餌で飼育していたナマズは模型に食いつこうとしたり、突いたりする行動を見せます。
ナマズはオタマジャクシの呼吸運動によってその周囲にできる電場の特徴を覚えていて、偽の電場に騙されて模型を捕食しようとしていたのでした。
しかし、もう片方の肉片を食べて飼育されたナマズは、この偽の電場にはほとんど興味を示しませんでした。
画像出典元:http://cyoikawahotpver2.blog.fc2.com/blog-entry-58.html

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